サル痘を恐れることはない!?その理由とは

コラム

新型コロナウイルス感染症に続く新たな脅威として、サル痘という病気が世界各国で話題になっています。不安に感じておられる方も多いと思います。しかし幸いなことに、サル痘にはすでに有効なワクチンも治療薬もあり、あまり恐れることは無いのです。今回は、その理由について紹介していきます。

サル痘を過度に怖がる必要はない理由


サル痘を過度に心配しすぎる必要はないという理由は、主に理由は3つあります。
一つ目は、既に開発・確立されている「天然痘のワクチン」が、サル痘にも有効であることがわかっているからです。また、日本国内でも天然痘ワクチンは生産・備蓄されています。二つ目は、海外で既に認可・使用されている「天然痘の治療薬」が、サル痘にも使えることがわかってきたからです。日本では未承認となっていますが、例外的に使用できる仕組みを厚生労働省が作り、万が一感染したとしても治療薬の投与が可能となっています。ワクチンも治療薬もない状況であった新型コロナとは状況が明らかに違うのです。三つ目は、「アルコール消毒」などの基本的な予防策が、サル痘にも有用なことがわかっているからです

サル痘に有効なワクチンについて


天然痘とサル痘は、別の感染症ではあるものの類似点が多いことで知られています。そこで既に開発済みの天然痘のワクチンが使えるのではないかと考えられ、以前より検討されてきた結果、すでに有効性が確認されているのです。天然痘ワクチンには、天然痘ウイルスそのものではなく、天然痘ウイルスと同属の「ワクシニアウイルス」という別のウイルスを弱毒化したものが入っているという仕組みになっています。似ている弱いものを接種することで、天然痘に対する免疫が得られるという、インフルエンザワクチンと同じ仕組みです。また、ワクシニアウイルスは、牛痘ウイルスに最も近いと考えられているのですが、何十年にもわたって研究室で繰り返し継代培養したところ、記録管理もなされていなかったために、本当の起源がよく分からなくなってしまったといいます。しかし、ワクチン研究に果たした役割は大きく、「ワクチン」という言葉も、ワクシニアウイルスが語源だと言われています。

サル痘の効果的な予防法とは


サル痘のウイルスで最も友好的な予防法は、アルコール消毒(エタノール消毒)です。ウイルスには2種類あり、エンベロープを持っているものと持っていないものがあります。
インフルエンザウイルスやコロナウイルスはエンベロープを持っており、アルコール(エタノール)を使うと、脂質二重膜であるエンベロープを溶かしてウイルスを壊すことができます。そのため、インフルエンザや新型コロナの感染予防策として、アルコール(エタノール)による手指消毒が有効なのです。一方、ノロウイルスはエンベロープをもっておらず、アルコール消毒をしても効かないことがわかっています。天然痘ウイルスとサル痘ウイルスは、低温や乾燥には強いものの、アルコールや紫外線で簡単に不活化させることができます。エンベロープを有するウイルスなので、エタノール消毒も有効です。新型コロナ感染症への対策として既に行ってきた「アルコール(エタノール)消毒」を励行していけば、サル痘の感染防止にもつながるため、引き続きおこなっていきたい対策ですね。

まとめ


ここまで、サル痘は極度に怖がる必要がない病気であるという理由を紹介してきました。新型コロナウイルスが蔓延してからというもの、インフルエンザにかかる人が激減したと言います。このサル痘もアルコール消毒で防げるウイルスですので、今まで通りのウイルス対策をして、健康に過ごしていきたいですね。

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