ご存知ですか?心療内科と精神科の違い

コラム

ストレスからくる胃痛に悩まされている時、受診すべきは心療内科でしょうか?精神科でしょうか?混同されることの多いこの2つの診療科ですが、実際は対象となる病気が異なります。
今回は、心療内科と精神科の違いについてご紹介します。

心療内科と精神科の違い

心療内科と精神科の大まかな違いは以下のとおりです。

● 心療内科:こころの不調が原因となって「からだ」に出現する病気を治療
● 精神科:こころの不調が原因となって「こころ」に出現する病気を治療

それぞれ詳しくお話しします。

心療内科とは?

心療内科では、心理社会的な要因から身体に症状が現れる「心身症」が対象です。

「心身症」については、日本心身医学会が下記のように定義しています。
『心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する。』(引用:日本心身医学会教育研修委員会「心身医学の新しい診療指針」)

例えば、学校や職場など特定の場所・状況で起こる頭痛・嘔気・腹痛など、ストレスが原因となる身体の不調は、心療内科の範疇となります。

その他にも、ストレスが原因となって出現する症状には、めまい・耳鳴り・動悸・胸の圧迫感・しびれ・嘔気・下痢・倦怠感などがあります。
ストレスによる自律神経の乱れも心療内科の対象となります。

心療内科の本質は、精神科ではなく内科です。精神疾患のために身体の症状が出現している場合は、精神科にて、元となる精神疾患の治療を優先します。

身体の不調があっても内科的に異常がないと言われる場合は、心療内科の受診を検討するとよいでしょう。

精神科とは?

精神科は、うつ病・統合失調症・双極性障害・発達障害などの「精神疾患(精神障害)」を専門にあつかう診療科です。

例えば、胸やけがあって心療内科を受診した際に、胃潰瘍だけではなくうつ病もあるということであれば、心療内科では胃潰瘍の治療と一緒にうつ病の治療を受けることになるでしょう。ですが、重度の精神病症状(興奮・幻覚・妄想など)や希死念慮(死にたいという気持ち)がある場合には、心療内科ではなく、精神科での専門治療が必要となります。

その他精神科が対象となる症状には、不安・抑うつ・イライラ・不眠・幻視・幻聴・アルコール依存症・薬物依存症などがあります。

心療内科と精神科のどちらにいくべき?

ストレスからの心身の不調を感じ、いざ受診しようと思っても、心療内科と精神科のどちらを受診すべきか、その判断に悩まれる方も多いかと思います。

そんな時は、下記の大まかな基準を参考にしてみてください。

● ストレスと「からだ」の症状が相互に影響し合っている:心療内科
● 「こころ」の症状がメイン:精神科
● 「からだ」の症状がメイン:それぞれの専門科(症状に応じた内科・外科)

とはいえ、どうしても迷ってしまってなかなか受診できずにいる、といった場合などには、心療内科・精神科のどちらであっても、自宅や職場から通いやすいところを受診する、というのも1つの方法です。

心療内科と精神科の違いについてご紹介してきましたが、ストレスを原因とする身体の不調を治療することは、精神科においても診療範囲の延長線上にあるもので、日々の診療で十分な治療実績があると考えられるからです。

まとめ

心療内科は、ストレスが原因で身体に症状が現れる「心身症」を対象とした診療科で、精神疾患をあつかう精神科とは異なります。
ですが、違いについては実際にはそこまで気にする必要はなく、気持ちが落ち込んで、つらい・苦しい・寝れなくてしんどい・・・などの心身の不調があれば、我慢せず心療内科や精神科の門を是非たたいてみて下さい。

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