食物繊維の働きと効率的な摂取方法をご紹介!

コラム

食物繊維とは、人の消化酵素では消化されない食品成分で、お通じを整えるイメージが大きいですが、その他にも私たちの健康において様々な重要な働きを担っています。
今回は、食物繊維の働きと効率的な摂取方法についてお話しします。

食物繊維とは?

5大栄養素といわれるたんぱく質・脂質・糖質などは、消化酵素によって消化(分解)された後に小腸から吸収されるのですが、食物繊維は消化酵素の作用を受けることなく、小腸を通過し大腸に到達します。

食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と、溶けない不溶性食物繊維の2種類があります。

● 水溶性食物繊維
糖の吸収を遅らせる・コレステロールを体外へ排出するといった作用の他にも、善玉菌のエサとなって腸内環境を整える作用もあります。
大麦・押し麦・オートミールなどの穀類、芋類、豆類、海藻類などに多く含まれています。

● 不溶性食物繊維
水に溶けにくく、体内で水分を吸収して膨らみ、便の体積を大きくすることによって腸を刺激し排便を促すという作用があります。
切り干し大根やごぼうなどの野菜、きのこ類、豆類などに多く含まれています。

食物繊維の働き

食物繊維の主な働きは以下のとおりです。

● 整腸作用
便の体積を増やし、大腸を刺激して腸の動きを活発化することで排便を促します。さらに、腸内細菌のうち、善玉菌(ビフィズス菌や乳酸菌など)のエサとなって善玉菌を増やし、腸内環境を整えるという重要な役割もあります。

● 血糖値上昇を抑える
糖の吸収速度を抑えて食後の血糖値上昇を抑制します。「糖の吸収を穏やかにする」「血糖値が気になり始めた方に」といった記載のある特定保健用食品(トクホ)は、食物繊維が関与成分として使用されたものです。

● 血中コレステロール値の低下
血中のコレステロール値を下げる作用があります。コレステロールを吸着して、便と一緒に体外に排出するためです。

その他にも、ナトリウムを排出する作用があることから、高血圧の予防効果があると言われています。また、有害物質も取り込んで便と一緒に体外に排出するため、大腸がんなどのリスクを軽減する効果も指摘されています。

おすすめの食物繊維の摂取方法

1日あたりの食物繊維の摂取目標量(18~64歳)は、男性21g以上、女性18g以上とされています(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」:2020年版)。

ところが、食事環境の変化とともに、食物繊維を多く含む穀類・芋類・豆類などの摂取量が減少傾向にあり、最近の報告では、食物繊維の平均摂取量は1日あたり14〜15g程度と目標値を大きく下回る状況が示されています。

食物繊維は、肉や魚などの動物性食品にはほとんど含まれておらず、そのため野菜や穀物、豆類などの植物性食品を多く摂取するよう意識することが大切です。

食物繊維が豊富な植物性食品には、かぼちゃ・ブロッコリー・モロヘイヤ・ごぼう・切り干し大根などの野菜、さつま芋・里芋などの芋類、納豆・おからなどの豆類、ひじき・わかめなどの海藻類などがあります。副菜や汁物に使用するなど工夫して、日々の食卓に積極的にとり入れましょう。

また、野菜に比べて穀類は摂取量自体が多いため、効率よく食物繊維をとることができます。3食のうちの1食を、白米ではなくオートミールや玄米、押し麦の入った麦ごはんなどに変えてみるのもおすすめです。100gあたりの食物繊維含有量は白米で0.5g、玄米で3gと、6倍もの差があるのです。

まとめ

様々な役割のある食物繊維ですが、中でも、善玉菌のエサとなって善玉菌優位の腸内環境に整える作用は、私たちの「健康」に重要で多大な影響を与えています。
規則正しい生活とともに、バランスの良い食事と食物繊維の積極的な摂取を心がけ、心身の健康保持に努めましょう。

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