運動によるメンタルヘルスへの影響:体も心も健康に!

コラム

運動をして汗を流すと気分がすっきりすることは、多くの人が経験的に感じていることだと思います。こうした「運動がメンタルヘルスにおよぼす影響」については、数々の研究でも明らかになっています。
今回は、運動とメンタルヘルスの関係について解説します。

運動がメンタルヘルスに好影響を与えるメカニズム


運動は高血圧や糖尿病などの身体的疾患の予防と改善に役立つことは、誰もが知るところです。
ですが、運動がもたらすメリットはそれだけではなく、メンタルヘルスやQOL(生活の質・生命の質)の改善にも効果があることが数多くの研究で示されています。
運動がメンタルヘルスに好影響を与えるメカニズムについては、完全に明らかにはなっていませんが、下記のような仮説が示されています。

運動により
1. 脳血流が増加する
2. セロトニン・エンドルフィン・ドーパミンなどの脳内物質が活性化される
3. 筋力増加・体力向上が、体温の上昇や免疫機能の向上、気分の改善などを引き起こす
4. 心肺機能の向上が、ストレス下にある副交感神経活動の活性を高める
5. 運動を実践することで、自己効力感(目標を達成するための能力を自らが持っていると認識すること)などが高まり、その結果,メンタルヘルス全体への好影響をおよぼす

運動すると、「幸せホルモン」「脳内麻薬」とも呼ばれるセロトニン・エンドルフィンなどの脳内化学物質が活性化されます。
脳細胞はこれらの化学物質を使って互いに情報のやりとり(伝達)をしており、これら化学物質の伝達が気分や思考によい影響を与えてくれるのです。運動によって、筋肉が鍛えられたり、心肺機能が向上するなど、多くの身体的メリットがもたらされますが、それが結果としてメンタルヘルスにもよい影響を与えてくれるのです。
また、運動の目標や課題を達成することは、たとえそれが大きなものでなくとも「自信」につながります。
さらには、運動を通して他の人と知り合うなど、社会的な交流の機会が増える可能性もあります。
近所を散歩しているときに、笑顔で挨拶を交わすだけでも気持ちが晴れるといったこともあります。
こうした運動による間接的な影響も、メンタルヘルスにとっては、おおきなメリットになります。

メンタルヘルスに効果的な運動とは


運動の量は多ければ多いほどよいというものではなく、あくまでも「適度」な運動をとりいれることが大切です。

45分間の運動を週3〜5回行ったグループで運動による利益が最大になったとする研究結果があります。(米国イエール大学、英国オックスフォード大学などが共同で行った大規模調査:2018年)
逆に1日3時間以上・月に23日以上運動した人は、運動をまったくしない人に比べて、メンタルヘルスはむしろ悪化する傾向がみられたとのことです。

たった25分のウォーキングでも心理学的効果があるとする研究結果もあります。「運動」と聞くと、ジムのマシンを使って何キロも走るといった姿を思い浮かべるかもしれません。ですが、「運動」とは、筋肉を動かしてエネルギーを使うあらゆる活動のことをさします。仕事や家事、余暇活動も含まれます。散歩やガーデニング、掃除、洗車など、日常的な軽めの活動であっても効果があります。ソファーから離れ、体を動かすことが大切です。

運動に対する考え方の幅を広げ、1日の中で少しずつ体を動かす方法を見つけましょう。例えば、エレベーターを使わず階段を使う。バスを使わず駅まで歩く。職場の1つ手前の駅で降りて会社まで歩いてみる。自転車で通勤してみる・・・など、いかがでしょうか。

まとめ


数々の研究でも明らかになっている、運動とメンタルヘルスへの関係。
気持ちが晴れず憂うつな気分になっているときこそ、散歩など軽い運動から始めてみませんか?

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