甲状腺の病気は発見が遅れがち! 兆候と症状を把握しよう

コラム

日本人には甲状腺機能障害や甲状腺がんなどの発生リスクも高いと言われています。潜在的な甲状腺疾患の患者は40人から30人に1人と言われるほど。しかし、実は甲状腺に関する病気は発見が遅れがちなのです。
甲状腺の病気症状は他の症状に酷似しているため、本人がなかなか自覚できません。
4対1の割合で発現が女性に多く、症状の大部分が更年期障害と共通している点も鑑別を難しくしている要因でしょう。
甲状腺の病気にはどのような種類があるのかご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

甲状腺の病気の種類


・甲状腺の病気について2種類の考え方
甲状腺に関する病気の分類は、2種類の考え方があります。病気の現れ方で分類する方法。甲状腺の機能状態で分類する方法です。医師の診察を受ける際には病気の現れ方、つまり症状が最初の手がかりになりますが、基本的には甲状腺の機能状態が軸に据えられています。

・甲状腺機能による病気の分類
甲状腺機能による病気の分類は3種類です。甲状腺の機能が異常に亢進するタイプ。甲状腺の機能が阻害され、低下するタイプ。腫瘍ができるタイプの3つ。
  ・甲状腺機能亢進症
 無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎、甲状腺機能性結節、バセドウ病など
  ・甲状腺機能低下症
 橋本病、特発性粘液水腫など
  ・腫瘍(結節性甲状腺腫)
 良性:甲状腺腫瘤、腺腫様甲状腺腫、甲状腺機能性結節など
悪性:悪性リンパ腫、濾胞がん(ろほうがん)、乳頭がん、髄様がん(ずいようがん)、未分化がんなど

甲状腺の病気の症状を分類する

・甲状腺の病気の症状
 甲状腺の病気で現れる症状は主に3種類です。
甲状腺ホルモンの異常。機能障害。炎症に由来する腫れや腫瘍によるしこりなど。これをまとめると、「甲状腺機能の異常亢進」「甲状腺機能の低下」「腫れやしこり」に分類できます。
  甲状腺機能の亢進症:
兆候として表れる症状は、多汗、倦怠感、全身疲労感、ホットフラッシュのように暑がるなど、いわゆる更年期障害に共通する状態です。
  甲状腺機能低下症:
冷え性、皮膚の乾燥症、気力低下、健忘症、認識力低下など、うつ病に類似した症状が現れます。炎症が起こる橋本病、甲状腺の機能が破壊される突発性粘液水腫などの可能性があります。
  腫れ・しこり:
甲状腺が全体的に腫れたり、腫瘍ができたりします。結節性甲状腺腫の大部分は良性です。また、身体にはほとんど影響が出ません。そのため悪性、良性、ともに発見が遅れがちです。

甲状腺の病気を見つけるには

・甲状腺の病気発見のきっかけ
 多くの前例から、甲状腺の病気が発覚したきっかけは以下の通りです。
 ・首の前側の腫れ
 ・安静時にも続く動悸
 ・手のふるえ
 ・多汗症
 ・更年期障害
 ・不自然な体重減少
 ・冷え性
 ・全身の倦怠感
 ・肌の異常な乾燥
 ・急激な冷え性
 ・眼球突出
 ・甲状腺の腫れ
自覚がなくてもこれらの症状が起きているケースもあります。健康診断や人間ドックでは些細な不安も全部話すようにしましょう。

・甲状腺の病気を調べる検査
甲状腺の検査は基本的に人間ドックの範囲です。ただし、健康診断の問診、視診、触診で甲状腺の腫れが発見され、精密検査に進む場合も稀にあります。
  ・視診、触診
 甲状腺に腫れがないか、状態を視診と触診で確認します。
  ・血液検査
甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンによって、甲状腺の機能を調べます。この段階で機能の亢進や低下が確認されれば、診断の大きな手掛かりになります。
  ・画像検査
血液検査で異常が見つからなかった場合はエコー検査で腫瘍の有無を調べます。腫瘍が見つかれば検体を採取して良性、悪性を診断することになるでしょう。

甲状腺の病気は軽度であれば発覚しないまま自然に治癒する可能性もあります。しかし、悪性腫瘍などの場合は長い年月をかけて徐々に進行していくので、やはり疑わしい時には詳細な診断が必要です。
早すぎる更年期障害などに悩んだ際には、ぜひ人間ドックを受けるようにしてください。
甲状腺の病気はほとんど健康診断では発見されません。通常の問診や血液検査で甲状腺の病気の可能性を指摘されるのは稀なケースです。検査項目を医師と相談の上で組み立て、個別の体質や悩みに沿った調べ方ができるのは人間ドックならでは。体調不安がある方はぜひ人間ドックの受診を検討していただきたいと思います。

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