子宮頸がんワクチンの公費助成対象が3種類に!

コラム

子宮頸がんに対する『9価HPVワクチン』が、3つ目の公費助成対象ワクチンとして追加されることをご存知でしょうか。
子宮頸がんの90%もしくはそれ以上の予防が可能になると期待されています。この記事では子宮頸がんと、3種類の子宮頸がんワクチンについて解説します。

子宮頸がんについて


子宮頸がんは、年間およそ1万人が罹患し、およそ3,000人が死亡する疾患です。患者数・死亡者数ともに増加しており、20~30歳代の若い女性で増加傾向にあります。
子宮頸がんのほとんど、95%以上は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染が原因であることが判明しています。感染する経路は、性的接触と考えられます。
性交渉の経験がある女性であれば、50%以上が生涯で一度は感染するとされているごく一般的なウイルスです。
男性であっても女性であっても、性交渉をもつ年齢やそれ以降で、多くの人がHPVに感染します。
HPV感染のうち、およそ90%は免疫の力によってHPVは自然に排除されるのですが、残り10%の人で感染が長期間持続します。
そしてその中の一部の人で、子宮頸部異形成とよばれるがんになる前の状態を経て、やがて数年かけて子宮頸がんに進行します。

初期の早期がんで発見されれば、子宮を残す形での手術も可能です。ですが進行がんになってしまうと、根治手術(子宮・卵巣・リンパ節を広く切除)や放射線療法、化学療法などによる治療が必要になります。子宮頸がんの治療成績は大幅に向上していますが、進行症例の再発率・死亡率は依然として高くなっています。
そして、これらの治療によって救命できた場合であっても、妊娠ができなくなってしまったり、その他にもホルモン欠落症状、排尿障害、足の浮腫などさまざまな後遺症に悩む患者さんも多くいらっしゃいます。

HPVワクチンについて


現在国内で承認を受けているHPVワクチンは、2価ワクチン・4価ワクチン・9価ワクチンの3つです。現時点で、公費で接種できるのは2価ワクチンと4価ワクチンの2つです。
2価ワクチンは子宮頸がんの主要な原因であるHPVの16型・18型に対応するワクチンです。一方、4価ワクチンは16型・18型に加えて、尖形コンジローマ(良性)の原因となる6型・11型を合わせた合計4つの型に対するワクチンです。そして、さらに5つの型(31型・33型・45型・52型・58型)を加えた9価ワクチンが、2023年4月から公費で接種できるようになります。

子宮頸がんは少なくとも HPVの15種類の型(16型・18型・31型・33型・35型・39型・45型・51型・52型・56型・58型・59型・68型・73型・82型)が原因となることが判明しています。9価ワクチンが公費対象に追加されることによって、子宮頸がんの90%もしくはそれ以上が予防可能になると期待されています。

これまで9価ワクチンは助成対象にはなっておらず、自費での接種に限られていました。自費での接種は高額で、およそ10万円(3回接種)かかっていましたが、ついに2023年4月からは無料で接種できることになります。

HPVワクチンはHPV感染を予防するものであり、HPVに感染した体からHPVを排除する効果や治療効果を期待するものではありません。したがって、初めての性交渉をもつ前に接種しておくことが望ましいとされています。

まとめ


WHO(世界保健機関)は、HPVワクチンによる『一次予防』と子宮頸がん検診による『二次予防』(早期発見・早期治療)の両輪による、より効果的な子宮頸がん予防を推進しています。
9価HPVワクチンが公費対象に追加されたこの機会に、改めてHPVワクチンについて考えみませんか。

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