脳腫瘍は「良性」でも命取りに⁉ 早期発見に必要な検査とは

コラム

脳腫瘍は「良性」でも命取りに⁉ 早期発見に必要な検査とは日本人の死因第一位は昭和から平成の現在にかけて変わらず「悪性新生物」です。着実にがん人口は増えており、がん統計によると日本人の2人に1人が何らかのがんを患う時代だと言います。
このように悪性新生物の脅威が増す中、民間のがん保険などで備えているという方は少なくないでしょう。いざという時に保険が下りれば生活の破綻を免れられますから、これ自体はぜひ実施すべき対策です。しかし、がん保険さえ用意しておけば安心とは言えません。がんに注目するあまり他のリスクを失念していませんか?
「日本人の死因」について、悪性新生物から数えて3つ下の順位に「脳血管疾患」があります。脳に発生する病気は発見時に手遅れというケースが少なくないのです。

改めて確認しておきたい「脳」の病気とリスク

・「脳血管疾患」の死亡者数とその順位
日本人は世界比較で塩分摂取量が多いためか、脳血管疾患も死因ランキングの上位に名を連ねています。直近5回の政府統計では平成15年の第3位、平成20年の第3位、平成25年以降の第4位と多少後退しているものの、上位の悪性新生物と心疾患による死亡者数が急激に増えているというだけの話です。脳の異常による死者数は常に10万人以上を記録しています。

・脳にはどのような病気が起こるのか
脳血管疾患の代表的疾患としては「脳梗塞」「脳卒中」「くも膜下出血」などがあります。希少な難病としては「もやもや病」をご存知の方が多いのではないでしょうか。また、脳血管疾患のほかに脳腫瘍の発生例も少なくありません。脳腫瘍には悪性と良性の双方がありますが、良性であっても腫瘍の成長が認められる場合には積極的な治療を行わなければ非常に危険です。

脳腫瘍の危険性と人間ドック

脳腫瘍は「良性」でも命取りに⁉ 早期発見に必要な検査とは
・脳腫瘍の危険性
腫瘍を形成する細胞が「がん化」しているかどうかによって良性と悪性の診断を行います。良性腫瘍であれば転移の可能性は少ないと見ていいでしょう。ただし、良性であっても腫瘍が成長すれば頭蓋内で脳圧が高くなり、死に至ります。
このタイプを頭蓋内圧亢進症状、腫瘍の発生部位が原因で起こる症状を巣症状と言います。
頭蓋内圧亢進症状の危険性は言うまでもありませんが、局所的な脳障害もまた生命活動を阻害する危険性が少なくありません。脳腫瘍の治療もまた早期発見・早期診断が大切です。定期的に人間ドックを受診して、自分の脳の状態を把握しておくようにしましょう。

・人間ドックで脳の状態を調べるには
脳腫瘍を発見するには人間ドックの受診が欠かせません。人間ドックならではのCT検査、MRI検査、脳血管造影検査によって、腫瘍の部位や大きさ、周囲の血管や神経回路への影響を確認できますから、年に2回から1回程度の頻度で人間ドックの受診を習慣にしてリスク低減に努めていただきたいと思います。
・CT検査
X線による断層画像検査のことです。5ミリから1センチ間隔の断層撮影を行うので病変部位の確定に役立ちますが、X線を使用するため検査を受けられる回数に制限があります。
・MRI検査
水素原子核の測定による精密断層画像検査のことです。X線を使用しないため繰り返し受けられる上、CT検査よりも精度が高いので需要が伸びつつあります。
・脳血管造影検査
造影剤を血管から注入し、脳に行き渡らせて腫瘍の形状を浮き彫りにする画像検査です。部位や良性、悪性の診断を行うために役立ちます。
これらの検査は通常の健康診断では利用できないので、がん家系の方、血圧が高い方、生活習慣病などの既往症がある方はぜひ人間ドックでご利用ください。

体部の腫瘍の場合、良性であればある程度の期間を観察だけで過ごすケースもあります。しかし、脳腫瘍では経過観察をしている間にどんどん大きく成長して周囲の神経を圧迫してしまいかねません。
2年から1年に1回人間ドックを受診していればそのリスクを減らせますので、こうした検査について早い段階で検討しておくことをおすすめします。

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