婦人科検診(レディースドック)で調べられる感染症の種類とは

コラム

若い世代で感染が拡大している性器クラミジアやヘルペス、エイズなどは感染症法上特別に「性感染症」と区分され、 一般には性病、性感染症、STD、STIなどと呼ばれます。
炎症性の性感染症に罹患した場合、発見と治療の開始が遅れると不妊症の原因になりかねません。

性感染症は通常の健康診断では基本的に早期発見は不可能です。
咽頭から口唇などに広がったヘルペスについては外見から見つけられますが、他の多くの性感染症は静かに腹腔内に感染が進行し、炎症症状を拡大していくのです。
性感染症の中には潜伏期間を持つものがあります。性交渉の経験がある女性は定期的に婦人科検診(レディースドック)を受けるようにしてください。

レディースドックとは人間ドックの種類のひとつ。女性特有の病気の発見に特化した検査内容の組み合わせのことです。

婦人科検診(レディースドック)の性感染症検査の項目と危険性


※いずれも検体を採取して病原体を抽出し、発病を促すものであるか特定する検査を行います。
基本は問診から検体の採取、分析という流れです。

・HPV(ヒトパピローマウィルス)
子宮頸がんの原因になることから知名度が高いウィルスですが、ヒトパピローマウィルスの感染は子宮頸がんのほかにも「尖圭コンジローマ」という性感染症を引き起こします。
女性については外陰部のイボやかゆみがサインです。感染からの潜伏期間は3カ月程度。

・カンジダ
もともとある常在菌の一種、カンジダと言う真菌の増殖によって炎症が現れるもの。
これは病気ではなく症状名です。女性特有の性感染症と思われがちですが、男性に感染することも。
おりものがぽろぽろと白くカッテージチーズ状になったり、強いかゆみが続くようになったら膣カンジダ症の可能性を考えてください。

・トリコモナス
病原体は膣トリコモナスという原虫です。
原虫によって引き起こされる病気であるため、原因にアタックしなければ治癒しません。
おりものの色が黄色っぽくなったり、外陰部のかゆみ、排尿痛などが現れたらトリコモナスのサインです。

・淋菌
淋菌感染症です。女性の場合は子宮頚管に炎症が起こるため、子宮管閉塞症などにつながりやすいハイリスクな性感染症とされています。
また、妊娠中に感染していた場合、胎児に感染して淋菌性結膜炎を起こすことも。
大量のおりものが出るようになったら淋病かもしれません。

・ヘルペス
単純ヘルペスウィルスの感染によって皮膚に水ぶくれができる病気。
病変部位の接触によって感染します。
感染した部位に水ぶくれと痛みが出ますので気付きやすいはずです。

・クラミジア
現在日本で最も強く注意喚起されている性感染症です。
不妊症につながる可能性が知られています。クラミジア・トリコマティスが病原体で、女性についてはおりものが多少増える程度。
自覚が難しいのでこれこそ定期的にチェックすることをおすすめします。

・梅毒
梅毒は梅毒トレポネーマの感染によって発病する性感染症です。
病期は4期で進行し、晩期に至ると全身の神経症状や容貌の崩壊を引き起こします。
かつては10年程度で死に至る病気でした。
初期症状は病変部位の硬結や潰瘍です。見逃さないようにしましょう。

・HIV(エイズ)
エイズウィルスは感染から発病まで平均10年間かかります。
潜伏期間中に感染に気付けば発病を遅らせることができるので、キャリアとの性的接触の有無は常に意識しておく必要があります。

婦人科検診(レディースドック)を受けるまで

・レディースドックは産婦人科が基本
レディースドックを受けられる病院は産科、産婦人科、婦人科などです。
産科は妊産婦を対象とした診療科で、婦人科は出産までは取り扱わない診療科のこと。
双方を合わせたものが産婦人科なのですが、産婦人科と名乗っている病院の中にも産科を扱わない施設があるので、妊産婦の方は注意してください。

・レディースクリニックの受診について
近年は産婦人科の医師やスタッフも女性がすっかり増えました。
レディースドックの問診ではセックスのペースややり方などといった内容にまで言及しますから戸惑うかもしれません。
しかし、質問内容はすべて必要な事項です。勇気を出して正確に伝えるようにしましょう。

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