胃がん検診: バリウム検査と胃カメラ、どちらを選ぶべき?

コラム

胃がんの早期発見に欠かすことのできないバリウム検査・胃カメラ検査ですが、検診の際にバリウム検査と胃カメラのどちらを受けるか悩む方は多いかと思います。今回はそれぞれのメリット・デメリットをご紹介します。検診で選択する際に、ぜひ参考にしてみてください。

バリウム検査と胃カメラの基本

● バリウム検査
これまでに日本の調査において、バリウム検査を受けることで男女ともに死亡率が下がるという結果が示されています。
バリウム検査は、「バリウム」という造影剤を飲んで胃の内部表面に付着させ、それをレントゲンで撮影します。バリウムはレントゲンで撮影すると白く鮮明に映るため、胃の表面に付着したバリウムを色々な角度から撮影することで、胃の形や粘膜の凹凸具合を見て、そこから病変を推測します。

● 胃カメラ
胃カメラは、「上部消化管内視鏡検査」や「胃内視鏡検査」とも呼ばれます。2014年から公費による対策型検診に追加されました。
先端にカメラがついた細い管(内視鏡)を口から挿入し、喉・食道・胃・十二指腸の一部まで、直接観察して病変を見つけます。胃の内部を詳しく調べることができます。

バリウム検査と胃カメラのメリット・デメリット

● バリウム検査
バリウム検査は、胃の内部全体にバリウムを行き渡らせた状態で撮影するので、胃の全体像を把握することができます。

ですが、バリウムの独特な味により吐き気を催すこともあり、受診率は低い傾向にあります。
また、バリウム検査は、放射線を使用するので、人体には影響のないレベルではありますが放射線被爆があります。

その他にも、何らかの異常が発見された場合には二次検査として胃カメラ検査が必要になること、レントゲンの読影結果が医師のスキルに左右されやすいこと等もバリウム検査のデメリットと言えます。

● 胃カメラ
胃カメラのメリットは、胃の内部をカメラで詳細に観察できることです。粘膜の色の違いや微細な凹凸等の変化を捉え、わずかな異常も見逃しません。また、何らかの病変を認めた場合には、組織検査のためにその場で組織の一部を採取することができます。

一方、胃カメラが喉を通る際に起きる咽頭反射に苦痛を感じる人が多く、胃カメラが敬遠される原因となっています。ですが、多くの施設で、鎮静剤を使用して眠った状態で検査を受けることが可能となっており、また、より苦痛の少ない鼻からの胃カメラ検査も選択できるなど、不快感を軽減する努力がなされています。

バリウム検査と胃カメラ、どちらを選ぶべきか?

従来の胃がん検診は、まずはバリウム検査を実施し、何らかの異常があった場合に、二次検査として胃カメラを実施するという流れでした。
これまでバリウム検査が優先されてきた理由として、胃カメラと比べて低コストで検査時間が短く、また、検査を実施できる人手も多いことから(バリウム検査は主に放射線技師が施行、胃カメラは医師のみ)、より多くの受診者を効率よく検査することができるという背景があります。

ですが、喉や食道を含めて病変を直接確認できること、バリウム検査では読影結果が医師のスキルに左右されやすいという課題があることからも、胃カメラをすすめる専門家が多いようです。とくに、家族歴がある人、過去に胃の病気を患ったことがある等、胃がんのリスクがある場合は胃カメラが望ましいでしょう。

まとめ

厚生労働省では、現在胃がん検診として、バリウム検査か胃カメラを「50歳以上で2年に1回」実施するよう指針で定めています。さらに、バリウム検査については、「40歳以上で1年に1回」の実施も可能としています。
バリウム検査も胃カメラ検査もそれぞれメリット・デメリットがありますが、どちらも優れた検査方法であることは間違いありません。どちらであっても、定期的に検査を受けることが重要です。

関連記事一覧