痛み止めは我慢した方がよいのか?

コラム

腹痛や頭痛などの痛みを感じた時どうしていますか?「すぐに薬に頼ってしまうのは体によくない気がする」と考え、我慢してやり過ごす人も多いのではないでしょうか。
今回は、痛み止めを我慢することは正しい行動なのか、痛み止めとの正しい付き合い方について解説します。

「痛み」ってなんだろう

「痛み」は、体に何らかの異常が起こった際に、異常があることを私たちに知らせ、さらにその異常から組織が修復するまでの間、体を動かさずに安静を保持するよう警告するという、とても重要な役割を担っています。

例えば骨折をした場合。飛び上がってしまうほどの激痛が起こりますが、もし痛みを感じなければ、おそらく手当を受けるタイミングは遅れ、そうすると折れた骨のまわりの筋肉や神経をも巻き込んで重大な合併症を引き起こすことにもなりかねません。
痛みが体の異常を知らせてくれることによって、私たちは何らかの手当てが必要であることを認識することができます。「警告」をしてくれる痛みは、私たちにとって非常に大切なものなのです。

痛みは我慢すべきなのか

ある調査では、「痛みがあっても出来るだけ我慢をしてやり過ごそう」と考える人が約8割にのぼることが明らかになりました。

痛み止めを我慢しようと考える理由として

● 耐性ができて、薬が効きにくくなりそう
● 薬によって体に負担をかけたくない
● 胃腸への負担・副作用が心配

などが挙げられますが、その他にも「痛み止めは痛みの根本原因を解決する薬ではないため飲んでも意味はない」と考える人や、ただばく然と「なるべく薬に頼らず、痛みはできるだけ我慢すべきだ」と考えている人もいるようです。我慢すること・耐えることを「美徳」とする習慣が残っているのかもしれません。

薬を服用する必要が本当にないのであれば、それに越したことはありません。
ですが、痛み止めを服用することは、それがたとえ痛みの根本原因に直接アプローチするものでなくとも、日々の生活にとって非常に大切なことと考えられます。
それは、「痛み」という不快な感覚を軽減することによって、「生活の質(QOL)」が確実に向上するからです。

対症療法が持つ重要な意味

痛み止めは、あくまでも「症状」を緩和する「対症療法」であって、根本的な原因の解決にはならないと考える人は少なくありません。一部の医療機関で「とりあえず痛み止め」という使われ方をしているのもネガティブな印象を生んでしまっている一因なのかもしれません。

「痛み」を考える上で大切なことは、「痛み」が生じた際、多くの場合そこには「炎症」が起きている、ということです。
「痛み止め」の正しい名称は「解熱消炎鎮痛剤」です。熱を取って炎症をしずめ、結果的に痛みを取り除くというものです。医療機関で処方される痛み止めは、むしろ炎症をしずめる効果を期待して処方される場合が多いのです。「痛み」という症状の緩和には、その痛みを引き起こしている炎症をしずめる必要があるからです。

その一方で、長期にわたる解熱消炎鎮痛剤の使用は、胃腸・腎臓への負担・副作用のリスクを伴います。解熱消炎鎮痛剤は短期集中で使用し、それでも痛みの緩和が得られない場合は、医療機関を受診して医師の診断を仰ぎましょう。

まとめ

「痛み」の治療においては、痛みが生じてすぐの急性期に適切な解熱消炎鎮痛剤を使用することとともに、局所の安静を図ることがポイントとなります。

それでも痛みの緩和が得られない場合には、ばく然と痛み止めの使用を続けるのではなく、慢性疼痛に対する治療へ速やかに移行することが大事です。「痛み」に悩んだときには迷わず医師に相談するようにしましょう。

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