生薬にはどんな効果がある?漢方薬との違いも解説

コラム

「生薬という言葉を耳にしたことはあるけれど、いったいどのようなものが生薬なのかわからない」「なんだか体によさそうな気はするけど、どんな効果があるのかよくわからない」といった方が多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、「生薬にはどんな効果があるのか」「漢方薬との違いはなにか」ということを解説していきます。

生薬とは?

生薬とは、自然界に存在する天然の動植物や鉱物から作られる薬のことです。5つの薬性である「五気」と5つの味である「五味」に分類されており、生薬が人の体のどの部分に作用するかを示した帰経に沿って用いることで効果を発揮します。

生薬の五気とは?

五気は生薬の薬性をあらわし、以下の5つに分類されます。
・ 寒 体の熱を取り、鎮静効果あり(涼より強い)
・ 涼 体の熱を取り、鎮静効果あり
・ 平 どちらにも緩やかに作用します
・ 温 体をあたため、気や血の流れを促す
・ 熱 体をあたため、気や血の流れを促す(温より強い)

生薬の五味とは?

・ 辛味 辛い味で、発散・発汗の作用がある
・ 酸味 酸っぱい味で、引きしめる作用がある
・ 甘味 甘い味で、滋養・緩急(痛みを和らげる)作用がある
・ 苦味 苦い味で、清泄(熱を鎮める)・乾燥させる作用がある
・ 鹹味 塩からい味で、ほぐす作用がある

生薬と漢方薬との違いは?

生薬と漢方薬の違いは、生薬が漢方薬の原料となるものにたいして、漢方薬は、原則2種類以上の生薬を組み合わせて作られたものという違いがあります。

生薬にはどんな効果がある?

生薬はたくさんの種類が存在しています。含有成分がそれぞれ異なり、単体で使用したり合わせて使用したりすることで、さまざまな効果を発揮することができます。
生薬の主な効果はこちらです。
・ 風邪症状の緩和
・ むくみの予防
・ 胃痛・腹痛の緩和
・ 滋養強壮
・ 鎮静作用

漢方薬とは?

漢方薬とは、中医学が日本に伝わり、そののち日本独自の発展を遂げた漢方医学で使用される薬のことです。漢方薬にはさまざまな種類がありますが、日本で承認されたものは294処方で、そのうち医療保険の適用になるものは148処方あります。
医療機関でよく処方される漢方薬にはどのようなものがあるか紹介していきます。

葛根湯(かっこんとう)

葛根湯は、初期のかぜ薬として処方されることが多い漢方薬です。
含まれている生薬は、葛根(かっこん)・大棗(たいそう)・麻黄(まおう)・甘草(かんぞう)・桂皮(けいひ)・芍薬(しゃくやく)・生姜(しょうきょう)で、のど以外の上半身の炎症や肩こりなどの筋肉のこわばりを緩和する作用があります。

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

麦門冬湯は、から咳が治らないときに処方されることがある漢方薬です。
含まれている生薬は、麦門冬・粳米(こうべい)・半夏(はんげ)・大棗・甘草・人参で、気管全体をうるおす効果があり、から咳を抑える作用があります。

桔梗湯(ききょうとう)

桔梗湯は、のどの痛みがあるときに処方されることが多い漢方薬です。
含まれている生薬は、甘草・桔梗で、のどの炎症を抑える作用があります。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

小青竜湯は、アレルギー性鼻炎の症状があるときに処方されることが多い漢方薬です。
含まれている生薬は、半夏・乾姜(かんきょう)・甘草・桂皮・五味子(ごみし)・細辛(さいしん)・芍薬・麻黄で、中程度までの花粉症やアレルギー性鼻炎、アレルギー性気管支炎を抑える効果があります。

生薬や漢方薬の注意点

天然素材でつくられた生薬や漢方薬は、副作用がないと思われることもありますが、「薬」ですので、用法・用量を守って用いる必要があります。体調に異変を感じた場合は、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。

まとめ

漢方薬は2つ以上の生薬を組み合わせて作られたものです。西洋薬と比較すると、比較的副作用が少ないといわれていますが、正しい飲み方をしなければ、体調不良に陥ることもありますので注意が必要です。
漢方薬局などでは、五気・五味などをもとに、ひとりひとりの悩みや症状に合わせたオリジナルの処方で漢方薬をだしてくれます。体質改善や病気を防ぐ効果が高いので、健康維持に役立ててみてはいかがでしょうか。

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