実は体によいことだらけの貧乏ゆすり

コラム

「行儀が悪い」という扱いを受けてきた貧乏ゆすりですが、実は健康によいことだらけだと話題になっています。貧乏ゆすりのような運動は「ジグリング」と呼ばれ、股関節症などの治療に取り入れる医療機関もあるようです。
本記事では、貧乏ゆすりが健康によい理由を解説します。

貧乏ゆすりをしてしまう原因

そばでやっている人がいると「こちらまでイライラしてしまう・・・」。多くの人からうとまれるそんな貧乏ゆすりですが、イライラする状態を含め何かに集中した際に、脳からの抑制がはずれて現れる、ごく自然な体の動きだといわれています。
他にも、不安やストレスを感じたときに、気を紛らわそうとして現れる体の反応だとする説もあります。
また、じっと座っているときなどに足の内側から不快感がおこり、足を動かすことで症状が和らぐという病気「レストレスレッグ症候群(むずむず脚症候群)」が原因となっている場合もあります。

貧乏ゆすりの効果

貧乏ゆすりの効果は多数指摘されていますが、おもな効果を5つご紹介します。

● むくみや冷えの予防・改善:
全身の血液は、重力のために約70%が下半身に集まっています。ふくらはぎにはその血液を心臓に戻す「ポンプ」の働きがあり、ふくらはぎの筋肉を動かすことにより全身の血流が促進されるのです。
むくみとは、皮膚の下に血管からもれ出た余分な水分がたまった状態をさし、とくに女性は筋肉量が少なく皮下脂肪が多いため、むくみが起こりやすいといわれています。ふくらはぎの運動によって血流が促進されると、余分な水分が血管に取り込まれることになります。また、貧乏ゆすりを5分後した後には、ふくらはぎの皮膚の温度が平均約2度上昇したという実験結果もあります。

● エコノミークラス症候群の予防:
貧乏ゆすりによる血流促進は、エコノミークラス症候群の予防にもなります。エコノミークラス症候群は、飛行機に限らず長時間座位でいることにより、血流がとどこおって静脈内に血のかたまり(血栓)ができ、それが肺の血管などに流れて血管をつまらせるという病態です。貧乏ゆすりで血流が良好な状態を保つことができれば、血栓の発生を防ぐことができます。

● ストレス軽減:
歩行や呼吸、咀嚼の動きなど一定のリズムを刻む動作は、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌を促進させるといわれています。足を小刻みにゆらし続ける貧乏ゆすりも、一定のリズムを刻む運動であることから、セロトニンの分泌が促進されイライラの解消につながるとされています。

● 集中力のアップ:
脳にはたくさんの血管が流れ集まっています。体全体の血流がよくなれば、血液によって多くの酸素や栄養素が脳に運ばれることになり、集中力も高まります。勉強中や仕事中に貧乏ゆすりをしている人は、それによって集中力が高まっているのかもしれません。また、血流の改善によって脳神経も活性化されるため、認知症などの予防にも役立つといわれています。

● 股関節症などの症状の緩和:
貧乏ゆすりのような負担の少ない動きであっても関節に動きが加わることによって、関節を包む関節液の循環がよくなります。それによって股関節や膝関節の症状が緩和される可能性があるといわれています。

まとめ

テレワークの普及にともなって、座位のままでいる時間が圧倒的に増えたというかたもたくさんいらっしゃるかと思います。長時間座位でいることの危険性は、WHO(世界保健機関)でも指摘されています。時々は机から離れ、ストレッチをするなど体を動かす時間を持つことが大切ですが、それが難しい場合などは、片足5分で血流効果がみられるという「貧乏ゆすり運動」から始めてみませんか。

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