塩分が招く高血圧:そのメカニズムと予防のための食事法

コラム

高血圧は自覚症状が少なく、治療が遅れると重大な健康リスクを招くため、予防と早期発見が重要です。高血圧を引き起こす原因は多数ありますが、主な原因の一つとして過剰な塩分摂取があります。今回は塩分が高血圧を引き起こすメカニズムと予防のための食事法をご紹介します。

高血圧とは?

高血圧とは、血液が体内の血管壁に対して持続的に過剰な圧力を与える状態を指します。この状況が続くと、心臓が血液を体中に送り出す際の負荷が増加し、心臓の機能低下や動脈硬化などの健康問題を引き起こす可能性が高くなります。そして、心疾患や脳卒中、腎臓病といった重大な疾病のリスクが高まることが知られています。

高血圧の診断基準は、病院などの医療施設で測定した「診察室血圧」で、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上の場合とされています。自宅で測定する「家庭血圧」では、収縮期血圧135mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上で、高血圧と診断されます。

塩分が高血圧を招くメカニズム

身体が適切に機能するためには、ある程度の塩分は必要です。しかし、過剰な塩分が体内に取り込まれると、高血圧につながるリスクに変わります。

塩分が体内に過剰に取り込まれると、まず体はその濃度を薄めるために、水分を保持しようと余分な水分が体内にたまります。その結果、体内の血液量が増え、血液を送り出す心臓への負荷が増大します。これが血圧上昇の一因となります。

また、塩分には直接血圧を上昇させる作用もあります。塩分は血管の細胞に作用して収縮を引き起こします。血管が収縮するとその内径は狭くなり、同じ量の血液を流すためには、さらに強い圧力が必要となります。

さらに、過剰な塩分摂取は腎臓にも影響を及ぼします。腎臓は体内の余分な塩分や老廃物を濾過して尿を作成し、体外に排泄する役割を担っていますが、過剰な塩分摂取は腎臓への過度な負担となります。腎臓への負担が続くと、体内の水分や塩分のバランスを適切に調整することが難しくなり、結果的に血圧上昇につながります。

適切な塩分摂取量と食事

高血圧を予防する上で、食事を通じた塩分摂取量のコントロールは必要不可欠です。
世界保健機関(WHO)は、1日の塩分摂取量の目安を5gとしています。日本人の平均塩分摂取量はおよそ10gであることから、日本人の塩分摂取量がいかに多いのか、おわかりいただけるかと思います。

日本食はそもそも塩分が多いため、普段から減塩を心がけることが重要です。醤油やソースなどの調味料は、食べ物にかけるのではなく、つけて食べるようにすることで、塩分摂取量を減らすことができます。特に塩分が多い漬物や汁物は、少なめにし、頻度を減らしましょう。また、麺類のスープも塩分が高いので注意が必要です。

カリウムも高血圧予防に効果的です。カリウムは、体にとって重要なミネラルで、食塩の主成分の一つであるナトリウムの排出を促します。野菜、果物、海藻などに含まれており、これらの食品を積極的に摂取しましょう。

食物繊維の摂取もおすすめです。食物繊維はお腹の調子を整え便秘を予防する働きで知られていますが、その他にもナトリウムや糖質、脂質を吸着して体外に排出する働きがあります。野菜、果物、豆類、きのこ、海藻などに多く含まれているので、これらの食品を日々の食事に積極的に取り入れましょう。

まとめ

過剰な塩分摂取は体内の水分貯留や血管の収縮を引き起こし、血圧上昇につながります。高血圧の予防には、減塩とともにカリウムや食物繊維の摂取が効果的です。
また、食事以外にも適切な運動、十分な睡眠、禁煙なども大切です。これらの対策を講じつつ健康な生活を送り、高血圧の予防に役立ててください。

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