腎臓病の種類と発見するための検査方法

コラム

腎臓は「血液の浄化」や「老廃物の排泄」「水分や電解質のバランスを保つ」「体にとって必要なホルモンの分泌や調節をする」というように多くの役割を持っています。
そのため腎臓病になって腎臓の働きが悪くなると、体にさまざまな問題が生じてしまうので、注意が必要です。
今回は「腎臓病の種類」と「発見するための検査方法」についてご紹介します。

■ 腎臓病の種類

・慢性糸球体腎炎

慢性糸球体腎炎は、腎臓内の糸球体という部分が障害されて起こる病気です。
健康診断ではタンパク尿を指摘されて発覚することが多くなっています。

・糖尿病性腎症

糖尿病による高血糖状態が持続することで糸球体に障害が起こる病気で、検査ではアルブミン蛋白尿が見られます。
透析患者の多くは、この糖尿病性腎症が原因で透析を行わなければいけない病態になっています。

・腎硬化症

高血圧や動脈硬化によって発症する病気で、腎臓の血流が悪くなるので腎臓の組織に障害を起こし、腎不全へと進行します。
多発性囊胞腎は遺伝性の障害で、腎臓に嚢胞が多発して腎臓を圧迫することにより機能が低下します。

■ 急性腎不全と慢性腎不全

腎臓の機能が低下すると、蛋白尿、血尿、尿量の変化、むくみ、高血圧などの症状が起こります。
さらに腎臓が正常に機能しなくなった「腎不全」という状態になると、尿素や老廃物が体内に蓄積される「尿毒症」になり、意識がもうろうとして昏睡になったりと、命にも関わる危険な症状が表れてしまうことがあります。
さらに腎不全は「急性腎不全」と「慢性腎不全」の2種類に分けることができます。

・急性腎不全

急性腎不全は、大量の出血や薬剤使用などによる急激な腎機能の低下で発症します。
尿が出ない、または出にくい状態になりますが、早期に適切な治療を行えば機能を回復させやすくなっています。

・慢性腎不全

慢性腎不全は、糖尿病や高血圧などの慢性疾患が原因となっており、数カ月から数年という長い期間をかけて徐々に機能が低下して発症します。
慢性腎不全は症状がなかなか現れませんが、進行してくるとむくみや疲労感、皮膚のかゆみなどのさまざまな症状が現れ、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患が起こる原因にもなります。
ゆっくりと腎機能が失われていくので、機能が回復することはほとんどありません。

腎不全が進行して末期の状態になれば、透析療法や移植などをしなければならなくなります。
しかしその一方で、現在では早期の腎障害であれば機能低下を遅らせたり防いだりすることができるので、治療の選択肢が増えてきています。

■ 腎臓の検査方法


腎臓病は「尿検査」や「血液検査」「腎生検」といった検査方法によって、発見することができます

・尿検査
尿検査はタンパク尿や血尿が出ていないかを調べる検査で、早期発見に役立ちます。

・血液検査
血液検査では腎臓の機能が数値的に表れるので進行の程度を把握することができ、特に血清クレアチニンと血中尿素窒素の値は病状が進行すると、数値が高くなります。

・腎生検
レントゲン撮影や超音波エコーによる画像診断、腎臓の一部を採取して調べる「腎生検」は、確定的な診断をつけること、そして治療方法を決定するために重要な検査となっています。

これらの検査はいずれも、ほどんどの医療施設の人間ドックで受けることができます。
腎臓病を早く発見するためにも人間ドックは定期的に受けるようにし、できるだけ病状が軽い内に治療できるようにしていきましょう。

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