HPV(ヒトパピローマウイルス)の脅威と検査方法

コラム

近年、20~30代の若い女性にも増えてきている「子宮頸がん」の直接的な原因となっているのが、HPV(ヒトパピローマウイルス)です。
HPVとは一体どのような脅威を持ったウィルスなのか、また検査方法についても紹介していきたいと思います。

HPVとは

HPVとは、女性の外陰部や肛門、男性の場合は亀頭、陰茎、肛門などの皮膚や粘膜に存在しているウィルスです。
主に性交渉を介して感染するウィルスで、その感染率は高く、性交渉の経験がある女性の50~80%は、一度はHPVに感染したことがあると推計されています。

HPVに感染しても、9割の女性は免疫機能により自然治癒しますが、残り1割の女性は身体に残り持続感染します。
持続感染したHPVは「低リスク型」と「高リスク型」に分類され、大半は低リスク型となります。
低リスク型の場合は、のちのちイボや尖圭コンジローマを患うことがあります。
高リスク型の場合は、子宮頸がんをはじめ、膣がん、外陰がん、肛門がんの原因となることがあります。

目安としては、HPVに持続感染した女性の100人に1人が、数年から長い場合は10年以上経ったあとで子宮頸がんを発症しています。

■ HPVの対策方法


HPVはコンドームなどの避妊具だけでは防ぎ切れないため、性交渉をまだ一度もしていない方であればHPVワクチンの投与が有効な対策方法となります。
HPVワクチンを事前に投与しておくことにより、HPV感染のリスクを十分に抑えることができます。
(ただし効果や副作用に未だ核心が持てない部分があることから、厚生労働省は積極的には推奨していないようです)

一方で、すでに性交渉の経験がある方の場合は、HPV検査を受けることが一番の対策となります。
HPV検査を行うことで感染しているかどうかを判別できますが、HPVに持続感染していると判断された場合、持続感染したHPVを治療する方法は今現在見つかっていません。
ただHPV検査で感染していることを早めに知っておけば、その後の脅威となる子宮頸がんを未然に予防したり、子宮頸がんが発症した場合でも早期治療で完治させることが可能です。

最悪のケースは、HPVの感染を気付かずそのまま子宮頸がんを発症し、全身に転移した後で気づくパターンです。
この場合は治療が困難となり、場合によっては死に至ることもあります。

■ HPV検査の方法と費用

HPVの検査方法には「ハイブリッドキャプチャー法(核酸検出法)」と「PCR法」の2種類があり、ハイブリッドキャプチャー法は現在、世界中で主流の検査方法となっています。
HPV検査は病院の産婦人科・レディースクリニック・性病クリニックなどで受けることができ、検査費用は1万円~1万7千円程度です。
また最近では、自宅でセルフ検査できる「HPV検査キット」というものも販売されています。
こちらは価格が5,000円~7,000円程度と安く、また人に会わず自分一人で検査できるというメリットもあります。

このようにHPVは、女性なら誰もが一度は感染したことがあるポピュラーなウィルスとなっており、また割合としては少ないものの、子宮頸がんなど厄介な病気の原因になってしまうウィルスでもあります。
早期に感染を知ることで、対策を施していくことが可能なので、性交渉の経験がある方は一度HPV検査を受けておくことをお勧めします。

関連記事一覧