水だけじゃダメ?大人のための正しい水分補給術

コラム

暑さが増す季節になると「しっかり水分をとろう」と思う人は多いと思います。
しかし、ただ「水をたくさん飲めばいい」と考えている場合、注意が必要です。
実は、大人にとって正しい水分補給とは、水だけでは不十分なこともあります。
本記事では、水分補給の基本や、水だけではダメな理由を解説します。
大人が健康を保つための、効率的な水分のとり方を確認していきましょう。

水分はどれくらい必要?大人の1日の目安量とは

成人男性の体の約60%、そして成人女性の体の約55%は、水分で構成されています。
しかし、尿や汗、呼吸などを通じて、私たちの体は、毎日約2.5Lもの水分を失っています。
そのため、失われた分を補うための水分補給が必要不可欠です。
目安としては、体重1kgあたり30〜40mlの水分が必要とされています。たとえば体重60kgの方であれば、1日あたり約1.8〜2.4Lが目安になります。
摂取すべき水分量のうち、普段の食事から約1Lの水分が得られますので、飲み物で補うべき量は、約1.2〜1.5Lとなります。
水分補給で注意する点は、喉が渇いてから飲むのでは遅いということ。特に、高齢者は喉の渇きを感じにくいため、意識的に水分補給をしなければなりません。
水分補給は、季節や年齢、体調に応じて柔軟に調整しましょう。

なぜ「水だけ」では不十分なのか?

夏場や運動時に汗をかくと、体からは、水分とともにナトリウム(塩分)やカリウムといった電解質も失われます。
この状態で「水だけ」を大量に摂取すると、体内の電解質バランスが崩れてしまうことがあります。これは「自発的脱水」と呼ばれる現象です。
たとえば、スポーツ中や屋外での作業中に水だけを大量に飲むと、血中の塩分濃度が下がり、逆に体が水分を保持できなくなります。
これにより脱水状態になるため、倦怠感や頭痛、吐き気などの症状が現れることがあります。

日本スポーツ協会によると、効果的な水分補給には0.1〜0.2%の塩分(水1Lあたり食塩1〜2g)と、4〜8%の糖分を含む飲料が推奨されています。
経口補水液(OS-1など)やスポーツドリンクがこれにあたり、脱水や熱中症の予防に有効です。 

大人のための水分補給術

正しい水分補給は「いつ・何を・どれくらい」飲むかがポイントです。
水分を摂るときは「一度にたくさん」より「少量をこまめに」が基本になります。
コップ1杯(150〜250ml)程度を1日6〜8回に分けて摂るのが理想的です。特に水分補給を意識したいタイミングは、起床時、食事中、運動後、入浴前後、そして就寝前です。

飲む物は、状況に応じて以下のように選択すると良いでしょう。
 日常生活:水、麦茶、白湯など
 発汗が多いとき:スポーツドリンクや経口補水液(OS-1など)
 塩分と水分が同時にとれる飲み物:梅昆布茶、味噌汁、野菜ジュース、牛乳
糖分の多いジュースや清涼飲料は、肥満の原因となるため、過剰摂取をしないように注意してください。
また、アルコールやカフェインには利尿作用があるため、水分補給には向いていません。アルコールやカフェインを飲む場合は、そのぶん水も一緒に摂るようにしましょう。

まとめ

水分補給と聞くと「水さえ飲めばいい」と思われがちですが、水だけでは体のバランスを保てません。
特に、暑い日や発汗の多いシーンなどでは、水分と同時にナトリウムや糖分の補給も重要になります。
1日に必要な水分量は、体重や活動量によって変わりますが、おおよそ1.5〜2.5Lを目安にし、こまめな摂取を心がけましょう。
喉が渇いてからではなく、前もって補給することが、熱中症や体調不良を防ぐ鍵になります。
暑い夏の季節、「水だけじゃダメ」ということを意識して、状況に合った賢い水分補給で、毎日を健やかに過ごしていきましょう。

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