化学物質過敏症とは?症状や原因をわかりやすく解説

コラム

香水や柔軟剤のにおい、建材の塗料、洗剤の香りなどで体調を崩したことがある場合、それは「化学物質過敏症」かもしれません。
化学物質過敏症は、周囲に理解されにくく、「気のせい」「わがまま」などと誤解されることもあります。
本記事では、化学物質過敏症とは何か、代表的な症状や発症の原因をわかりやすく解説します。

化学物質過敏症とは?アレルギーとの違い

化学物質過敏症とは、日常的な環境に含まれる微量の化学物質に反応して、さまざまな体調不良が現れる病態です。
「アレルギー」と混同されることがありますが、根本的な仕組みは異なります。
アレルギーは免疫が関与し、血液検査などで数値として表れます。一方、化学物質過敏症は、神経系や自律神経の過敏な反応によると考えられており、検査では異常が見つからないケースが多いのが特徴です。
また、症状が定まっておらず、人によって現れ方も異なるため、他の病気と区別がつきにくく、診断も難しいとされています。

化学物質過敏症の代表的な症状

化学物質過敏症の症状は非常に多彩で、以下のような不調が同時に現れやすい傾向にあります。

 頭痛やめまい
 強い倦怠感(疲労感)
 吐き気や胃の不快感
 不眠、眠りが浅い
 動悸、息苦しさ
 皮膚のかゆみ、赤み、湿疹
 鼻水、鼻づまり、のどの違和感
 目の刺激感(しみる、かすむ)
 集中力の低下、イライラ、不安感

症状は人によって異なり、見た目ではわかりづらいため、周囲からの理解を得るのが難しい場合もあります。

化学物質過敏症を発症する原因

化学物質過敏症の発症メカニズムは、まだ完全には解明されていませんが、「曝露(ばくろ)」と「個人差」が関係していると考えられています。
「曝露」とは、化学物質にさらされることを意味します。例えば、芳香剤の香りを吸い込んだり、新築の家の建材から発せられる揮発性化学物質に触れたりすることが、日常的な「曝露」にあたります。
きっかけとなるのは、以下のような物質です。

 新築やリフォーム時の建材・塗料・接着剤
 柔軟剤、芳香剤、洗剤などの日用品
 農薬、タバコの煙、排気ガスなど

人によって「体が許容できる化学物質の量(許容量)」には差があり、許容量を超えると、微量でも体が過敏に反応するようになると言われています。
例えば、引っ越しや新しい職場での曝露を機に発症する人や、ある日突然症状が出始める人もいます。特に、女性やアレルギー体質の人、ストレスの影響を受けやすい人はなりやすい傾向です。

化学物質過敏症を防ぐためにできること

化学物質過敏症は、一度発症すると完治が難しいため、日頃からの予防と環境作りがとても大切です。
リスク軽減のために、以下の5つを意識してみましょう。

1. 無香料や低刺激の製品を選ぶ: 洗剤や柔軟剤、消臭スプレーなどは無香料タイプがおすすめです。
2. こまめに換気する: 特に冬や梅雨の時期は、空気がこもりやすいため注意が必要です。
3. 新築・リフォーム時は素材に配慮する: 化学物質の少ない建材や自然素材を選ぶようにしましょう。
4. 体調が悪くなった場所・製品をメモする: 自分の「トリガー物質」に気づくことが予防の第一歩になります。
5. 職場や家庭内で香料使用を見直す: 香水やアロマなど、香りの強いものを控える配慮も大切です。
小さな工夫の積み重ねが、発症や再発のリスクを下げる大きな力になります。

まとめ

化学物質過敏症は、誰にでも起こりうる身近な不調です。
微量の化学物質に反応して複数の症状が現れるため、原因に気づきにくく、他人には理解されにくい面もあります。
化学物質過敏症は、原因物質を避ける工夫や生活環境の見直しによって、症状が改善することもあります。
大切なのは、まず正しい知識を持ち、自分や周囲の体調の変化をしっかり把握することです。少しでも気になることがあれば、専門の医療機関や自治体の健康相談窓口に相談してみましょう。

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