生活習慣病になると具体的にどのような健康リスクがあるの?

コラム

日々の食生活や運動不足、喫煙や飲酒、ストレスなどの積み重ねが引き金となって発症する「生活習慣病」。
生活習慣病の恐ろしさは、単なる不調にとどまらず、命にかかわる深刻な病気へとつながっていく点にあります。
本記事では、生活習慣病によって生じる具体的な健康リスクについて詳しく解説します。

生活習慣病はなぜ怖い?健康をむしばむ「静かな進行」

生活習慣病は、その名の通り、日常の生活習慣が原因となって発症する病気の総称で、糖尿病・高血圧・脂質異常症・高尿酸血症・肥満・肝疾患などが含まれます。
これらの疾患は、初期段階では自覚症状がほとんどないまま進行し、ある日突然、重い合併症や急性発作を引き起こします。
特に、動脈硬化をはじめとする血管の異常は、心筋梗塞や脳卒中など命に直結する病気を引き起こすリスクが高まります。
「体調は悪くないから大丈夫」と思っている間に、体の内側では深刻なダメージが蓄積している可能性があるため注意しなければなりません。

生活習慣病による具体的な健康リスク5選

生活習慣病による具体的な健康リスクを5つ解説します。それぞれ確認していきましょう。

1. 心筋梗塞・脳梗塞・脳出血(動脈硬化が原因)

高血圧や脂質異常症などの生活習慣病によって、血管の内側にコレステロールがたまり、動脈硬化が進行します。
動脈硬化が進行すると血管が詰まりやすくなり、心臓の血流が遮断されると心筋梗塞、脳の血管が詰まると脳梗塞、血管が破れると脳出血を引き起こします。これらは突然死を招くこともあり、早期対策が必要不可欠です。

2. 糖尿病による合併症

糖尿病が進行すると、体内の高血糖状態によって血管や神経が徐々に傷つき、合併症を引き起こします。
代表的なのが、視力を失うリスクのある「糖尿病網膜症」、人工透析が必要となる「糖尿病腎症」、しびれや痛みを伴う「糖尿病神経障害」です。さらに、傷が治りにくくなり、壊疽(えそ)を起こすと、下肢の切断が必要になる場合もあります。

3. がん(大腸がん・肝臓がん・肺がんなど)

がんの発症にも生活習慣が深く関係しています。高脂肪・高カロリーの食事や喫煙、飲酒、運動不足などは、特に大腸がんや肝臓がん、肺がんなどのリスクを高めます。
肥満も複数のがんの危険因子であり、日々の生活ががんの土台をつくっているともいえます。

4. 脂肪肝・肝硬変(肝疾患)

暴飲暴食やアルコールの多量摂取、肥満により、肝臓に脂肪がたまって「脂肪肝」となります。
初期段階では無症状ですが、放置すると肝臓の炎症や線維化が進行し、「肝硬変」や「肝がん」へと悪化することがあります。
肝臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれ、症状が出にくいため、気付いたときには重症化しているケースも多くあります。

5. 高尿酸血症・痛風・腎障害

プリン体を多く含む食事やアルコールの摂取により、血中尿酸値が高くなると「高尿酸血症」となります。この状態を放置すると、関節に尿酸結晶がたまり「痛風発作」を引き起こします。痛風は突然の激痛で歩行が困難になることもあります。また、尿酸は腎臓にダメージを与え、慢性腎臓病に進行するリスクもあります。

生活習慣病の放置による影響

生活習慣病は放置することで、QOL(生活の質)を大きく下げる可能性があります。慢性的な疲労感や倦怠感に悩まされたり、合併症により日常生活に支障が出たりすることもあります。
進行すれば就業が困難になり、介護が必要な状態に陥ることもあるでしょう。
また、日本人の死因の約6割が生活習慣病と関連しており、健康寿命を短縮させる最大の要因ともいわれています。
さらに、治療のための医療費や介護費もかさむため、生活習慣病による経済的負担も無視できません。

まとめ

生活習慣病は、心筋梗塞や脳卒中、糖尿病による合併症、がん、肝疾患、腎障害など、命にかかわる重大な病気を引き起こす原因です。
これらの病気は静かに進行し、症状に気付いたときにはすでに手遅れということも少なくありません。
生活習慣病は、決して他人事ではなく、誰にでも起こりうる現代病です。今の自分の生活習慣を見直し、早期の予防と対策を行って、健康な未来を守りましょう。

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