働き盛り世代注意!睡眠関連胃食道逆流症とは?

コラム

みなさんは、睡眠関連胃食道逆流症という症状を聞いたことがありますか?
毎日が忙しく、食生活や運動習慣が乱れがち。そんな人に起こりやすい症状となっています。
最近胸焼けがするなどの症状が現れる人は、この睡眠関連胃食道逆流症かもしれません。

「睡眠関連胃食道逆流症」とは


胃と食道の境には下部食道括約筋が働いていて、胃から食道へ胃液が逆流しないようになっています。ところが、この筋肉の働きが落ちたり、腹圧が高い状態が続いたりすると、胃液が食道に逆流してしまうのです。これが「胃食道逆流症」です。胃酸によって食道の粘膜がただれて、食道炎や食道潰瘍を起こしてしまうこともあります。また、なんと日本人の4人に1人には胃食道逆流症がある、という報告もあります。胃液の逆流は眠っている間にも起きることがあり、これは「睡眠関連胃食道逆流症」と呼ばれています。アメリカで胸焼けがある患者さんに調査したところ、夜間に胸焼けを感じる人は全体の79%もいたそうです。このうち、胸焼けが睡眠に悪影響を与えている人は75%、睡眠の問題が翌日の活動の障害となっている人が40%もいたとの報告があります。

胃食道逆流症の症状と睡眠中の影響とは


胃食道逆流症の症状は胸焼けや胃のムカツキのほかに、ゲップとともに酸っぱい液体が口まで上がってくる呑酸やノドの痛み、飲み込みにくさ、狭心症のような胸の痛み、長く続く咳や喘鳴などがあります。また、なかなか治らない中耳炎や副鼻腔炎(蓄膿症)の原因が、胃食道逆流症だったということも。睡眠関連胃食道逆流症は、睡眠の前半や浅いノンレム睡眠中によく起こり、9割の人が目覚めるか脳波上の覚醒反応を示すそうです。眠っている間に胃酸が逆流する回数が多かったり、時間が長かったりすると、睡眠時間が短くなったり、睡眠が細切れになって質が悪くなってしまいます。アメリカの胃食道逆流症の患者の調査では、69%の人が眠るために横になるだけで胃液逆流症状を自覚していたそうです。眠っている間に起こる胃液の逆流のため54%の人が目覚め、胃液の逆流によって咳が生じたり息苦しさを感じたりする人は29%にのぼっていたのです。睡眠中の歯ぎしりに悩む人も多くいますが、胃食道逆流症と歯ぎしりに関係があることが研究で分かってきました。胃酸が逆流したときに防御反応として歯ぎしりが起こり、同時に唾液を飲みこんで胃液を中和している人がいるのです。このような人は胃食道逆流症の治療を行うと、歯ぎしりも軽くなるといわれています。

睡眠関連胃食道逆流症の治療


睡眠関連胃食道逆流症の治療の2本柱は、生活習慣の改善と飲み薬が通常です。お腹に脂肪が多いと腹圧が高まりやすく、胃食道逆流症を起こしやすくしてしまいます。1日30分程度のウォーキングを週に5回すると、効果が現れ始めます。食べ物は脂肪が多い食べ物やカフェインを多く含む飲み物、アルコール類、にんにく、玉ねぎ、柑橘類は避けるようにしましょう。できればタバコもやめましょう。そして食事が終わってから3時間は横にならず、ベルトを少し緩めてお腹を楽にすることも効果的です。このように生活習慣を見直しても睡眠関連胃食道逆流症が起こるようなら、薬で治療する必要があります。薬局で買える市販薬では、「ガスター」や「アシノン」などのH2ブロッカー胃腸薬がお勧めです。普通の胃薬よりも、胃酸に対抗する効果が強力になります。

まとめ


ここまで、睡眠関連胃食道逆流症の原因や症状、治療法について紹介してきました。
少しでも心当たりがある場合は、ぜひ生活習慣を見直すチャンスだと思って、取り組んでみてください。
また、どうしても症状が治らない場合は、医療機関にかかることをおすすめします。

関連記事一覧