プリン体ゼロは本当に効果あり?痛風予防に知っておくこと
プリン体ゼロと書かれたビールや発泡酒を選んでいれば、痛風にならない。
このようなイメージを持っている方は多いかもしれません。
しかし実際のところ、プリン体ゼロ飲料を飲んでいるからといって、痛風を防げるとは限りません。
その理由を理解するには、まず「プリン体とは何か」から知っておく必要があります。
本記事では、そもそもプリン体とは何か、プリン体ゼロ飲料が痛風予防に効果があるのかについて解説します。
そもそもプリン体とは?

プリン体とは、体内でエネルギーや細胞を作るために欠かせない成分の一つです。人間の体では、食事から摂るだけでなく、自分の細胞の新陳代謝によってもプリン体が作られています。つまり、プリン体は「悪者」ではなく、生きていくために必要な物質です。
食べ物では、レバーや魚の内臓、いわし、かつお、さんまなどに多く含まれます。これらの食品を摂取すると、体の中でプリン体が分解され、尿酸に変わります。
尿酸は通常、尿や汗として体の外に排出されますが、量が増えすぎたり排出が追いつかなくなったりすると、血液中に尿酸が溜まり、高尿酸血症や痛風を引き起こしてしまうのです。
「プリン体ゼロ」と書かれていても本当にゼロではない

「プリン体ゼロ飲料」とは、100mlあたりのプリン体量が0.5mg未満の飲料を指すもので、まったく含まれていないわけではありません。日本の食品表示基準では、微量のプリン体であれば「ゼロ」と表示して良いと定められています。
そのため、プリン体ゼロと書かれたビールや発泡酒を飲んでも、厳密には少量のプリン体を摂取していることになります。とはいえ、一般的なビールには100mlあたり5〜10mgほどのプリン体が含まれているため、ゼロ飲料を選ぶことは確かに摂取量を減らすという点では有効です。
プリン体ゼロ飲料は痛風予防に効果がある?

「プリン体ゼロ」と聞くと、なんとなく「痛風にならない」「尿酸値が上がらない」と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。しかし実際のところ、プリン体ゼロ飲料を飲めば痛風を防げるというわけではありません。
痛風や高尿酸血症のリスクを高めるのは、プリン体そのものよりも、アルコール代謝の仕組みが大きく関係しています。
アルコールを分解するとき、体内ではエネルギーを作るために「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質が使われます。このATPが分解される過程でも尿酸が作られるため、アルコールを飲めば飲むほど尿酸が増えやすくなるのです。
さらに、アルコールには、腎臓からの尿酸排出を妨げる働きもあります。そのため、たとえプリン体を含まない飲料でも、飲みすぎれば尿酸値が上昇することがあります。
つまり、「プリン体ゼロ=安心」ではなく、飲み方次第でリスクは変わるということになります。
プリン体ゼロ飲料を飲むときの注意点

「プリン体ゼロ」でも油断せず、量を決めて飲む
プリン体ゼロでも、アルコールによる代謝負担は変わりません。1日あたり350ml缶1本程度を目安に、飲みすぎないようにしましょう。
「糖質ゼロ」や「カロリーオフ」もあわせて確認する
肥満は高尿酸血症のリスクを高めます。プリン体が少なくても糖質やカロリーが多いと、結果的に尿酸値を悪化させることもあるため、プリン体以外もしっかりと確認しましょう。
水分補給をしっかりする
アルコールには利尿作用があり、体の水分が不足しやすくなります。尿酸を体外に排出するには十分な水分が必要なので、お酒と同量かそれ以上の水を一緒に飲むようにしましょう。
本当に痛風を防ぐためには?
痛風予防には、プリン体ゼロ飲料を選ぶだけでは不十分です。以下のような生活習慣の見直しも一緒に行いましょう。
アルコールを控える(休肝日を週2日は設ける)
野菜や海藻、大豆製品を多めに摂る
肉や魚の食べすぎに注意する
水を1日1.5〜2リットルを目安にこまめに飲む
適度な運動で代謝を高める
尿酸値が高めの人は、定期的に血液検査を受けて数値をチェックすることも大切です。もし尿酸値が7.0mg/dLを超えるようであれば、医師の指導のもとで食事や生活習慣を見直しするのがおすすめです。
まとめ
プリン体ゼロ飲料は、プリン体の摂取量を減らすという点では確かに効果があります。しかし、痛風を防ぐためには「プリン体を減らすこと」よりも「アルコールとの付き合い方」が重要です。
飲みすぎればゼロ飲料でも尿酸値は上がるため、「ゼロだから大丈夫」と油断せず、水分をこまめにとりながら、適量を守るように意識しましょう。
プリン体ゼロ飲料は、アルコールと上手に付き合うためのサポートアイテムだと理解しておくことが、健康的にお酒を楽しむ第一歩です。

