人間ドックで「乳がん」を調べるにはどんな検査を受けるべきか

コラム

人間ドックで「乳がん」を調べるにはどんな検査を受けるべきか健康診断は基本的に年に1回は受診する機会があるはずですが、婦人科領域の病気や感染症、または潜在的な病気、良性腫瘍などについて確認できるほどの制度の検査項目は盛り込まれていません。
そこで、成人の中でも特に40歳以上の女性には、2年に1回の乳がん検診が推奨されています。
乳がん検診とはどのような検査なのかご存知ですか?

乳がん検診の内容と受診率

人間ドックで「乳がん」を調べるにはどんな検査を受けるべきか
・乳がん検診で実施する検査項目
「視触診」と「マンモグラフィ」または「乳腺超音波」が乳がん検診の検査項目です。
マンモグラフィは乳房専門のエックス線画像検査のことで、乳腺超音波は被爆リスクがない音波式画像検査のこと。いずれかを選んで受診します。
妊娠の可能性がある女性には通常よりも被爆リスクが高いので、超音波式の画像診断を選ぶように勧められるはずです。妊娠中に被爆すると胎児に影響が出ます。妊娠の段階によっては受精胚が消失するケースもあるので十分注意してください。

・乳がん検診の受診率
日本の乳がん検診受診率は2010年以降にも40%代で推移してきました。欧米では遺伝性乳がんが注目を集めるなど、年々上がっている乳がんリスクが危機感をあおって70%以上の受診率を実現したそうです。
国際比較では日本人のがん罹患率はかなり高い方ですが、こうした予防にあたる意識の差が影響している側面もあるのではないでしょうか。

乳がんリスクと人間ドックで選べる検査項目

・乳がんリスクは上がっている
2015年の日本人女性が乳がんになる確率は12人に1人。年間の新規患者数は89,400人で、死亡者数は13,800人でした。「悪性新生物」の領域では罹患後の1年から5年、またはそれ以降の生存率が治療の成功率を物語る数字となりますが、乳がんでは治療の有効性が上がる一方で母数が広がり続けており、死亡者数が伸びてしまっている状況です。
乳がんは再発リスクも高いので、とにかく早めの発見、早めの治療を心がけていただきたいと思います。

・人間ドックなら乳がん検診より柔軟かつ広範囲な選択肢がある
乳がん検診は2年に1回が基本ですが、がんの進行速度によってはこの期間に発症し、次の検診までに進行してしまう可能性があるのです。
そこで、乳がん検診とは別にその間のタイミングで人間ドックを受診し、より詳細なリスク調査をすることをおすすめします。
人間ドックならば通常の乳がん検診ではカバーされない高度な検査項目も選べるので、体質や遺伝子まで不安な要素を確実に拾えますよ。
人間ドックで選べる検査の種類は、まずは乳がん検診の3項目。「視触診」「マンモグラフィ」「乳腺超音波検査」から始まり、以下の項目にまでおよびます。
乳腺MRI検査:しこり(腫瘍)が確認された時に磁気画像診断で乳房に発生する病巣の性質を見極めます。悪性であればマンモトーム生検が必要になるでしょう。
・マンモトーム生検:乳房から検体を採取して検体検査を行います。
・PEM(乳房専用PET):静脈から投与した薬剤に含まれる放射性同位元素の集合する部位を画像に撮影し、悪性腫瘍の有無と段階を診断する検査です。
・乳がんの遺伝子検査:乳がんと卵巣がんを引き起こす遺伝因子には「BRCA1/2遺伝子」の変異があります。遺伝子検査でその特徴が見られる場合高確率で乳がんか卵巣がんを発症するので、予防的に乳房を切除するなどの対策が可能となります。
・乳管内視鏡検査:視触診で異常分泌物などが認められたもののしこりは確認できない場合、乳管にファイバースコープを挿管して乳頭腫瘍などの診断を行う検査です。
・乳管造影検査:乳管に造影剤を投与して乳管の形が画像の映るように準備し、乳管に腫瘍や狭窄が起こっていないかなどを診断します。
乳がんの発見率も高くなっていますが、乳がん検診を2年に1回、レディース人間ドックを2年に1回受けたとしても、それでも検査と検査の間隔はやはり1年間開いてしまいます。その間のリスクを下げるには、常日頃から自分で「乳がんの自己検診法」を行うといいでしょう。健診の際に受ける視触診の方法をよく覚えておき、見た目や手触り変化がないか、しこりがないか、違和感や痛みがないか、こまめに記録するようにしましょう。

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