政府管掌生活習慣病予防健診の検査内容とは

コラム

政府管掌生活習慣病予防健診の検査内容とは生活習慣病の危険性が指摘されるようになってから、政府広報のもとで日本人全体に病気の予防意識を高める啓発活動が行われてきました。
その一環として実施されるようになった先制医療行為のひとつに「政府管掌成人病検診(生活習慣病予防検診)」があります。
健康を守るための定期的な検査である「健康診断」と「政府管掌成人病検診(生活習慣病予防検診)」はどう違うのでしょうか。

「政府管掌成人病検診(生活習慣病予防検診)」と「健康診断」の違い

政府管掌生活習慣病予防健診の検査内容とは

・健康診断
一般に「健康診断」と呼ばれるものは、企業に所属する社会人やその扶養家族が年に1回受ける「一般検診」のこと。こちらは問診や血液検査、尿検査、レントゲン検査など約30項目の検査で構成され、基本的に「健康状態を確認する」目的で行われます。
自己負担額が発生する場合の費用は最高7,038円です。対象年齢は35歳以上。

・政府管掌成人病検診(生活習慣病予防検診)
一般検診に加えて成人病(生活習慣病)に関わる項目を盛り込み、病気の早期発見やリスク評価を行い、発病を予防するものです。
必要に応じて検査項目の腹部レントゲン検査を内視鏡検査に変更できる点、女性希望者には乳がん検査や子宮細胞診を付加できる点で、一般検診(健康診断)より自由度が高いと言えるでしょう。対象年齢は40歳から50歳。費用は一般検診に加えて4,714円から8,244円程度の幅があります。

政府管掌成人病検診(生活習慣病予防検診)の付加検査項目

・付加検査項目の一覧
一般検診と成人病検診の大きな違いは「尿沈渣顕微鏡検査」や「血液学的検査(血小板数・抹消血液像)」「生化学的検査」「眼底検査」「肺機能検査」「腹部超音波検査」があるところです。
乳がんの偶発年齢である40歳から74歳の女性や、子宮頸部がんを含む子宮がんの偶発年齢である36歳から74歳の女性には「乳がん検診」や「子宮細胞診」といった付加検査項目の実施が推奨されています。

・主な付加検査項目の概要
・尿沈渣顕微鏡検査

通常の尿検査とは異なる詳細な検査で、遠心分離機を使用した上で顕微鏡によって観察し、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱細胞、尿酸結晶といった結晶の沈査物から腎臓の状態などを推し量る検査です。
・生化学的検査
特殊な薬剤を使用した血液を遠心分離機にかけて成分を分離するなどして詳細な成分測定を行うもので、臓器の異常を鋭敏に察知できる専門的な血液検査です。
・乳がん検診
問診、視診、触診、乳房エックス線検査で乳房の石灰化の有無などを調べます。乳房エックス線検査は「マンモグラフィー検査」と言って、乳房の検査に特化した画像診断です。
・子宮細胞診
問診と検体検査です。子宮頸部の細胞を採取して分析するもので、子宮頸部がんの発見には非常に有効です。ただし、検体を採取できる範囲に限りがあるためがん発見率は100%ではありません。

成人病検診は一般検診よりも検査項目が専門的なものが増えますが、あくまで一次検査の範囲です。この検査によって異常が認められれば二次検査へ、二次検査で必要と判断されれば人間ドックに進むことになります。
成人病検診では付加項目として追加料金が発生する検査でも、人間ドックであれば基本の項目として盛り込まれるものがほとんどです。
一次検査で病気の可能性が指摘された場合、いずれにしろ病気の鑑別および確定診断と治療方針の決定には人間ドックが欠かせません。病気リスクが高くなる40歳以降は発がん率も高くなるので、特にがん家系の女性などはより詳しく腹腔内の状態を確認するため、定期的に人間ドックを受診することをおすすめします。

関連記事一覧