歯を食いしばるのはなぜ?体への影響と改善法

「気づいたら歯を食いしばっている」といった経験がありませんか?
歯の食いしばりを放置すると、歯や顎だけでなく全身に悪影響を及ぼすこともあるため、原因と対策を知っておくことが大切です。
歯を食いしばる原因
自分がどのような場面で歯を食いしばっているのかを把握することは、改善するためにも大切です。歯を食いしばる主な原因を確認していきましょう。
ストレス
精神的なストレスを抱えると、無意識に歯を食いしばることがあります。これは、緊張や不安を和らげるための生理的な反応で、仕事中や人間関係のストレスが多い人ほど起こりやすい傾向です。
集中しているときのクセ
パソコン作業やスポーツなど、集中しているときに歯を食いしばる人も多いです。特に、前かがみの姿勢になると顎に力が入りやすく、習慣として定着する場合があります。
睡眠中の歯ぎしり
眠っている間の歯ぎしりも、歯を食いしばる原因です。自覚しにくく、家族に指摘されて初めて気づくケースもあります。睡眠中の歯ぎしりは、日中のストレスや噛み合わせの不調が影響しているといわれています。
かみ合わせのバランス
歯並びやかみ合わせが不均衡だと、特定の歯や顎関節に負担がかかります。その結果、咀嚼筋が過剰に緊張し、歯を食いしばるクセにつながります。
歯を食いしばると起こる体への影響
歯を食いしばる習慣は単なるクセではなく、歯の寿命を縮めるほか、全身の不調につながる「見過ごせないサイン」です。
体にどのような影響があるのかを確認していきましょう。
歯と歯ぐきへのダメージ
強い力で食いしばり続けると、「冷たいものがしみる」知覚過敏を引き起こします。また、歯にヒビが入ったり、欠けたりすることもあります。さらに、歯ぐきや歯を支える骨に負担がかかり、歯周病の進行を早める危険性もあります。
顎関節症のリスク
歯の食いしばりで顎の関節や筋肉に強い負荷がかかり続けると「口を開けるとカクカク音がする」「口が大きく開かない」といった顎関節症の症状が現れることがあります。重症化すると、食事や会話すらつらくなるケースもあるため注意が必要です。
頭痛や肩こりの悪化
顎から首・肩にかけての筋肉は連動しているため、食いしばりによる筋肉の緊張が慢性的な頭痛や肩こりにつながります。特に側頭筋や咬筋(こうきん)と呼ばれる、咀嚼に使う筋肉が凝り固まると、こめかみ周辺の痛みや片頭痛のような症状を感じる人もいます。
睡眠の質の低下
睡眠中の歯ぎしりや食いしばりは、夜間に何度も無意識に力を入れてしまうことで交感神経が優位になり、眠りが浅くなってしまいます。その結果、朝起きても疲れが取れない、日中に強い眠気やだるさを感じるといった不調が現れます。
歯を食いしばらないための改善法
歯を食いしばるクセは「意識してやめよう」と思っても難しいことが多いですが、以下の方法を組み合わせて取り入れると改善につながりやすくなります。
ストレスを軽減する
ストレスは、歯を食いしばる大きな原因です。
• 寝る前に深呼吸や軽いストレッチをする
• 就寝前のスマホを控えて、リラックスできる環境を整える
• 日頃から顎の力を抜くことを意識する
ストレス解消の方法は人によって異なるため、自分に合ったリフレッシュ法を見つけましょう。
マウスピースを活用する
睡眠中の歯ぎしりや食いしばりには、歯科医院で作るマウスピース(ナイトガード)が効果的です。歯や顎関節を物理的に守るだけでなく、装着することで「力を入れにくくなる」という行動修正効果も期待できます。市販品もありますが、自分の歯型に合わせたオーダーメイドのほうがより快適に使えます。
かみ合わせや歯並びを調整する
噛み合わせの乱れが原因の場合、歯科治療や矯正治療でバランスを整えると根本改善につながります。特に片方の歯だけに負担がかかっている場合は、歯や歯ぐきなどに大きなストレスがかかるため、早めに受診しましょう。
自分での改善が難しい場合や、頭痛・肩こりが強く生活に支障がある場合は、歯科口腔外科や心療内科などの専門医に相談するのも一つの方法です。
まとめ
歯を食いしばるのは、ストレスや生活習慣、かみ合わせなど複数の要因が絡み合って起こるものです。放置すると歯や顎だけでなく、頭痛や肩こりなど全身の不調に広がることもあります。
日常でできる工夫や歯科での治療を取り入れながら、早めに改善を心がけましょう。