ストレスが関係?大人になって発症するアトピーの原因

コラム

アトピーは「アトピー性皮膚炎」のことで、かゆみを伴う湿疹を繰り返す慢性的な皮膚の病気です。
かつては子どもに多い病気とされていましたが、近年は大人になってから初めて発症したり、子どもの頃に治まっていた症状が再び現れたりするケースも増えています。
背景には、ストレスや睡眠不足、食生活、住環境の変化など、現代特有の生活習慣が深く関わっているといわれます。
本記事では、大人のアトピーが増えている理由や生活習慣との関係などについて解説します。

なぜ「大人のアトピー」が増えているのか?

アトピーは、皮膚のバリア機能の低下と免疫の過剰反応によって炎症が起きます。
子どもは、皮膚が未発達なためにバリア機能が弱く、アトピーを発症しやすい傾向です。一方、大人の場合は、ストレスや不規則な生活、乾燥などによってバリア機能が壊れ、アトピーを引き起こすことがあります。
また近年は、冷暖房による乾燥や花粉、PM2.5などの外部刺激も重なり、発症リスクがより高まっていると考えられています。

アトピーの原因となる生活習慣



大人のアトピーは普段の生活習慣も大きく影響しています。どのようなことが肌に影響を与えやすいのか、確認していきましょう。

ストレスと睡眠不足

精神的ストレスが続くと、自律神経のバランスが乱れてかゆみを強く感じやすくなります。さらに寝不足は、皮膚の回復時間を削り、夜間のかゆみを助長する原因です。特に、寝入りに強く掻いてしまうと翌日に悪化しやすくなります。

食生活と腸内環境

外食や加工食品中心の食生活は、腸内環境を乱し、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスを崩す要因です。腸内環境の悪化は、免疫が過剰に反応しやすくなり皮膚の炎症が長引く原因となるため、アトピーを悪化させます。

住環境とアレルゲン

寝具のダニや室内のハウスダスト、季節の花粉、ペットのフケなどは、傷んだ皮膚への刺激になります。また、エアコンの長時間使用は、部屋を乾燥させるとともに肌も乾燥するため、バリア機能を低下させてしまいます。

スキンケア・外的刺激

熱いシャワーや洗浄力の強い石鹸、合わない化粧品や香料などは、皮膚を傷つけて炎症を悪化させます。また、衣類の縫い目・ウールなどのチクチクした刺激や頻繁な手洗い・消毒も乾燥を加速させてしまう原因です。

セルフケアと医療機関を受診する目安

生活の中にすぐに取り入れやすい対処法を紹介します。ただし、症状が強い場合は早めに医療機関を受診しましょう。

スキンケアを丁寧におこなう

入浴は、38~40℃くらいのぬるめのお湯に入りましょう。顔や体を洗う際は、泡で優しく洗い、擦らないことが大切です。お風呂から上がったら、できる限り早く(5分以内)全身に保湿剤を塗りましょう。

生活リズムを一定にする

就寝・起床の時刻を一定にし、生活リズムを整えましょう。日中は軽い運動やストレッチを取り入れ、血流を促すことで皮膚の代謝が整います。寝る1~2時間前からはスマホの利用を控えて、ゆったりした気分で過ごすと質の良い睡眠につながります。

摂取する食材を意識する

食事のときは、良質なたんぱく質(魚、鶏肉、大豆製品、卵)をしっかり摂りましょう。青魚やナッツに含まれる必須脂肪酸、味噌や納豆、ヨーグルトなどの発酵食品は腸内環境を整える助けになります。
ただし、食事に注意が必要な方は、自己判断せずに必ず医師に相談してください。

睡眠環境を整える

布団や枕のカバーは週1回以上洗濯し、敷布団や掛け布団などは布団乾燥機や掃除機でダニ対策を行いましょう。また、室内は加湿器を使い、湿度40~60%を目安に保って乾燥を防ぎます。
爪は短く整え、睡眠中は綿手袋や長袖パジャマを着用して掻き壊しを防ぎましょう。
かゆみが強いときは「冷やす・保湿する・軽く押さえる」など、掻かずに対処する工夫も効果的です。

医療機関を受診する目安

赤みやじゅくじゅくした症状、眠れないほどのかゆみがある場合は、医療機関を受診しましょう。
症状が強いときは、医師による外用薬治療が欠かせません。
ステロイド外用薬は正しく使えば安全で、炎症を短期間で抑えることができます。

まとめ

大人のアトピーは体質だけでなく、毎日の習慣にも左右されます。ストレスと睡眠、食事、環境、スキンケアの小さなズレが重なると、皮膚のバリアは簡単に崩れることに。まずは入浴・保湿の徹底と睡眠の立て直しから始め、食事と環境を整えましょう。症状が強いときは我慢せず皮膚科を受診し、医療の力で炎症の火を消すことが近道です。無理なく続けられる、自分なりの改善方法を見つけることで、肌は少しずつ落ち着きを取り戻します。

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