コレステロールの新常識とは?

コラム

 以前は「卵はコレステロールが多いから摂り過ぎに注意」と言われていたのに、最近は「卵は血中コレステロールには影響しないから大丈夫」と、異なる見解が出てきたことは有名ですよね。今回は、コレステロールの新常識について紹介していきます。

コレステロールに食事制限は必要ない?


健康づくりや生活習慣病予防のために、どんな栄養素をどれだけ摂取すれば良いかの目安として、国から「日本人の食事摂取基準」が発信されていて、最新の2015年版ではコレステロールの目安がなくなったのです。なくした理由として、「コレステロールの摂取量は低めに抑えることが好ましいものと考えられるものの、目標量を算定するのに十分な科学的根拠が得られなかったため、目標量の算定は控えた。」とされているのです。体内のコレステロールは食事からの摂取以外に70~80%が肝臓で合成されていて、コレステロールは、細胞やホルモンの材料として使われるのですが、細胞の数や生まれ変わるスピード、ホルモンの分泌量などによって必要量が変わります。食事から同じ量を摂取しても腸から吸収される量も人によって違うのです。つまり、個人差が大きいため食事による摂取量の上限を設定するのが困難というのが現状となっています。
本来、コレステロールは、摂取量や必要量に応じて体内で合成する量が調整され、食事から摂り過ぎても影響はないのです。しかし、体質などにより調整ができない人は、食事の影響で血液中のLDLコレステロール値が基準を超えることや、基準内でも年々高くなることがあるのです。

運動しても血中コレステロールは改善できない?


脂質は、からだを動かすエネルギー源となります。運動することで、食事から摂取した脂質やからだに蓄えられた脂肪をエネルギーとしてより多く使うため、肥満解消にも役立つのです。コレステロールも脂質の一種なのですが、エネルギー源にならない種類の脂質なので、いくら運動しても使われて減ることはないのです。では、運動してもコレステロールは減らないのか…と思いがちですが、実はコレステロールには、悪玉=LDL、善玉=HDLの2種類あります。悪玉のLDLが高いだけでなく、善玉のHDLが低い場合もコレステロールの異常と分類されるのです。血液中にLDLが多いと、血管が硬く詰まりやすい「動脈硬化」のリスクに繋がります。HDLは血液中のLDLを回収し肝臓へ運ぶ働きがあるので、動脈硬化の予防に重要な役割を果たしているのです。動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な病気を招く元凶です。
たとえ、LDLが基準内であっても、HDLが低すぎると動脈硬化のリスクは高くなります。ここで、運動することが無駄ではないことが分かりますよね。なんと運動には、このHDLを増やす効果があります。LDLが高い人はもちろん、HDLの低い人も、ウオーキングなど軽い有酸素運動が改善に効果的なのです。

コレステロールを体外へ出す方法はあるのか


運動で使われないコレステロールですが、体外に出す唯一の方法があります。それが食物繊維です。消化液の一つである胆汁酸は、コレステロールを原料に作られています。脂っこいものを食べると腸へ出ていき体内に脂質を吸収する作用があります。胆汁酸も脂質と一緒に再び吸収され体内へ戻ってきますが、この時に食物繊維をしっかり摂っておくと、胆汁酸を絡めて便と一緒に排泄してくれるのです。食物繊維は野菜や海藻、きのこ類に多く含まれます。特に脂っこいものを食べる時にしっかり食物繊維を摂ることが、コレステロールを体外へ出すのには効果的なのです。

まとめ

ここまで、コレステロールの新常識を紹介してきました。
食事の極端な制限は必要ありませんが、ご自身のコレステロールの異常がどこに原因があるのかを探って、改善できそうなものがあれば、まずは試してみるのも良いかもしれませんね。

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