脂肪を燃やすケトン体の性質とそのメカニズム

コラム

ケトン体は糖分が不足した時に体内の脂肪から作られてエネルギーとなるため、糖質のみを食事制限するケトン体ダイエットで苦痛が少なく痩せることができます。ただ、ケトン体が多すぎるのも身体に良くないので、適度な糖質制限が必要となります。

最近、ケトン体という言葉を巷でよく耳にするようになりました。

特にケトン体ダイエットというダイエット法がブームになってから、健康問題に興味のある人などにケトン体が熱い注目を浴びています。

では、そもそもケトン体という物質はどういうものなのか、また、どのような作用があるのか、ケトン体ダイエットはどういう風に行うのか、といったことについて、こちらの記事で解説してみました。

ケトン体とは何なのか


ケトン体は肝臓で作られる物質で、糖分の摂取が不足した時に糖分の代わりとなるエネルギー源として、体内の脂肪を分解してできるものです。

そのため、ケトン体が消費されれば体内の脂肪が減って体が痩せる効果があります。

また、ケトン体にはエネルギー源になる以外にも、寿命を延ばす効果もあるのではないかということで、研究が進行中です。

さらに、ケトン体の血中濃度があまりに高くなると、健康を害する可能性もあります。

糖によって肥満が起こる仕組み


それでは、そもそもなぜ肥満というものは起こるのでしょうか。

その仕組は次のようになります。

まず、自分が消費する以上のカロリーを摂取した場合、インスリンによって血液中の高い血糖(ブドウ糖)はグリコーゲンに変換されて肝臓や筋肉に貯蔵。

しかし、グリコーゲンとして貯蔵される量には限度があります。

この限度を超えた血糖は、インスリンによって中性脂肪に変換され、脂肪細胞に貯蔵されます。

この一連の流れが肥満が発生する原因となります。

ケトン体が脂肪を燃やす仕組み

まず体内で糖分が欠乏すると、筋肉などに存在するアミノ酸から糖分を作り出します。これを糖新生と呼びます。

しかし、糖新生には限界があります。糖新生が限界を超えた時、今度は体内の中性脂肪が分解されて脂肪酸などに変換されることに。

この脂肪酸は筋肉などで消費されますが、使いきれなかった脂肪酸は肝臓に送られてケトン体に変換されます。

そのケトン体が脳やその他全身のあちこちの器官でエネルギー源として消費されることになります。

ケトン体ダイエットの方法


ケトン体ダイエットは非常に簡単な方法で、要するに食事の中から糖分の摂取を控えめにして、その分、肉や野菜などはたっぷり食べても構わない、というダイエット法となります。

そのため、苦痛が少ないので続けやすい点が人気の理由。

また、それほど激しい運動をしなくても糖質制限だけで体内の脂肪を燃やしてくれる点も人気の理由となっています。

通常の血中ケトン量は数十μmol(マイクロモル)程度ですが、半日程度絶食するだけで約300μmol、運動後では3,000μmol、ケトンダイエットを続けている状態では、5000μmol程度にまで上昇。

このように、ケトン体ダイエットは比較的素早く体内効果が出るという特徴があります。

ケトン体ダイエットで注意しておきたいこと


しかし、ケトン体の濃度があまりに高いと普段アルカリ性の血液が酸性になってしまいます。この状態はケトアシドーシスと呼ばれています。

ケトアシドーシスになると健康を害したり、最悪の場合、生命の危険が生じる場合もあるので注意が必要です。

そのため、あまりにも極端なケトン体ダイエットは行わず、糖質制限をするといっても糖分も多少は摂取することが重要なこととなります。

まとめ

このように、これまでのダイエット法よりも比較的楽に痩せることができるケトン体ダイエットは大きな注目を浴びてブームになりました。

しかし、ケトン体がどういう作用で痩せることに結びつくのかを知っておかないと、健康を害する可能性があります。

ケトアシドーシスにならないように過激なダイエットは控えて、ゆっくり効果が出るような形にしたほうが健康被害もなく、痩せることができます。

また、ケトン体には寿命を延ばす効果もあると言われているので、少しずつでもケトン体ダイエットに取り組んでみたいですね。

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