「バリウム検査」と「胃カメラ検査」の違いとは?

コラム

日本人は胃腸を始めとした消化器系が弱いと言われています。原因についてはさまざまな説があります。

・欧米人に比べて胃腸が長い
・胃腸の病気は自覚症状が出やすい
・ストレスが多い
・検査で病変が見つかりやすい


などの説が議論の的になっていますが、いずれにしろ日本人に消化器系のがんが発現しやすいことは事実です。胃がんについてはヘリコバクター・ピロリ菌の対策が普及して罹患率が低下しているようですが、大腸がんに関しては罹患率、死亡率ともに上昇しています。
胃腸の病気を調べる方法は人間ドックの「バリウム検査」と「胃カメラ検査」が2本柱なのですが、実際に検査を実施する際にはどちらを選ぶべきなのでしょうか?

■人間ドックの2大巨頭「バリウム検査」と「胃カメラ検査」


・「バリウム検査」のメリットとデメリット エックス線を通さない造影剤「バリウム」を飲んで撮影するレントゲン撮影のことです。胃全体の形、動きを確認できる点がメリットですが、小さな病変には対応できません。
また、バリウム検査で異常が見つかった場合、良性か悪性かを確定するためにも胃カメラ検査を受ける必要があります。
バリウムによる胃腸障害や便秘、エックス線による被ばくなどの可能性も指摘されており、注意が必要です。妊娠の可能性がある女性、胃腸が弱っている高齢者などにとっては特にリスクが高い検査方法だと考えられます。

・「胃カメラ検査」のデメリットとメリット
胃カメラ検査は消化管上部、つまり、胃を対象とした内視鏡検査です。正確には上部消化管内視鏡、あるいは胃部内視鏡検査と呼びます。
鼻腔から内視鏡を挿入して、到達部を確認しつつ胃の内部にまでカメラを送り込むのです。鼻から喉を経て食道まで管を通すので、胃カメラ検査は苦しいと警告されるはず。これが胃カメラ検査のデメリットといえるでしょう。ですが、実際に内部の画像を見て状態を確認できるので、より確実に病変を見つける役に立つはず。胃カメラ検査ならば小さな病変も目視で調べられます。また、病変が見つかった場合にそのまま検体を採取して検体検査まで行える点も大きなメリットです。

■「バリウム検査」と「胃カメラ検査」までに受ける検査

・人間ドックで受ける予備的な検査の必要性
人間ドックは検査項目を必要に応じて選べますが、病気の可能性や自覚症状がない他の疾患の有無を調べるためには「バリウム検査」や「胃カメラ検査」だけでは不十分です。
そのため、基本的な検査をあわせて実施することになります。

・その他の検査で実施する項目
血液検査によるペプシノゲン検査
:血液を採取して血中ペプシノゲンの割合を調べ、それによって胃粘膜の状態などを推察する検査です。胃腸の機能などが分かります。

血液検査によるPET検査
:血液の腫瘍マーカー値検査で、被験者の負担は極めて軽減できますが、一方で病変の検出確率も低いので効率的とはいいがたい検査です。予備検査としての活用をおすすめします。

便潜血検査
:例えば潰瘍性の病変が起きている場合、出血の有無を確認できます。また、大腸がんの発見にも役立ちますが、早期がんの場合50%の確率で見逃しがあるのでやはり予備的な検査であると考えてください。

超音波検査
:人間ドックでは婦人科検診その他の検査でもほぼ実施される検査です。消化器系についても病気の発見率が高く、かつ被験者の負担が少ない検査なので信頼性が高いですが、病変が確認できても検体採取を同時にできません。

消化器系の病気を調べる最終手段は検体検査です。病変の確認と検体採取まで同時に行える特性から、「胃カメラ」が最も有効な上部消化管の検査と言えそうです。
人間ドックでも胃カメラ検査は特に需要が高いので、実施を求める際にはなるべく早めに医師に相談なさることをおすすめします。

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